20年前のデータサッカー、または岡田武史の先見性と不足していたもの

 岡田武史評価企画なのですが、時間がない時に雑に書いてるので、至らないところはご指摘願います……後で改定します

データ活用だけなら20年前からやっている

 昨今「データを活用しろ」などと喧しく言われているが、単にデータを取って戦術に落とし込もうなどという活動ならば、JリーグがOptaの活用を始めた2000年代には盛んになっている。例えば、山本昌邦がよく言っていた「奪ってからパス3本以内でシュート」の話などはデータをもとに戦術を決めようという試みの一環だったと言えよう。この「奪ってからパス3本以内でシュートしろ」という方針は定着せず今に至るが、これはデータ(統計)の基本的な扱いが分かっていなかったからという部分があるだろう。例えば、

  • hit, false alarm, miss, correct rejectionの区別ができていない
    • パス3本以内で攻撃に成功しなかった場合が勘定に入っていないなので成功率の評価さえできていない
  • 相関と因果の区別がついていない
    • 因果としては「ロングカウンターでの得点が多かった結果深い位置からパス3本以内の得点が多かった」のようなこともあろう。パス3本がシュート位置の好適性を必ず高めるわけでもない
  • 小さなサンプルに過剰適合している
    • 後の時代には高い位置でボールを奪ったりパスを多く回す方法が成功していて、この当時の狭い時期のトレンドに過剰適合して時代の変化についていけない

など、大学1~2年で習うような基本的なデータの扱い方ができていない。こんなデータの扱い方ではまともな改善試験サイクルは回せなかったろう。ついでに言えば、山本昌邦の貼っている表と文章を読むと「得点に至るパスの数」と「奪った位置」のクロス集計表が欲しくなるし、奪った時の相手のオフサイドラインの高さなど補正項も欲しくなるところだが、そういった発展には向かわなかった。

岡田武史の先見性

 岡田武史は2010W杯での成功で注目を集め多くのインタビュー()が行われたが、そこに見えるマリノス時代の指導方針は興味深い。当時の流行のように「データを生かすサッカー指導」を試みているのだが、そのうちでもモデリングが適切であるように思われるからである。その要素を抜き出すと以下のようなものになるだろう。

  • サッカーでは、選手は相手ゴールに向かって球を運ぶことを目的とする。
  • 相手の守備が薄いところを突く=相手ゴールに到達する確率が経路を選択すれば容易に目的を達成できる。
  • 相手の守備の厚みが同じなら(ゴールに近い)中央のほうがよい。なので普通は中央は固められる。
  • サッカーは11人で行う競技であり、人的リソースには限界がある。中央を絞ればサイドが空き、サイドを守れば中央が薄くなる=サイド守備と中央守備はトレードオフの関係にある。
  • 攻撃側は、サイド攻撃・中央突破のどちらも選べるようにしておき、相手が中央を守っていればサイドを、サイドを守っていれば中央を攻撃すれば常に相手の手薄なところを攻略できる。

 ゴールとフィールドの形が決まっていてゴールに球を運ぶ競技である以上ゴールとボールの位置関係が重要であるとか、サイドと中央で相手の守備が手薄な方を選んで攻撃するのが最適であるとか、このあたりは昨今もてはやされるポジショナルプレーと問題意識は共通しているのではなかろうか、と思える節がある。トレードオフの関係はサイド/中央の守備に限らずサッカーのあらゆる場面に出現する。攻撃に人数をかければ守備の人数が減る。ラインをあげればショートカウンターは狙いやすくなるが縦一発で沈められる。攻撃側は守り方がトレードオフ関係にあるどちらの攻撃経路もとれるように戦術的幅を持たせておき、相手の守り方を見て常に後出しジャンケンで勝利する。現在サッカーが向かっている方向性はこういうものだというのが私の認識で、マリノス岡田は同じものを志向していたというように思われるのである(筆者はサッカーの専門家ではなく、筆者がサッカーについてモデルを立てろと言われれば大雑把にこのようなモデルを立てるだろうというところもあって現場で得られる知識と齟齬があり間違っている可能性も大いにあるが)

岡田武史に足りなかったもの

  岡田は「サイド守備と中央守備は両立しえないので相手の出方を見て選択できれば効率的である」という理解を得ていたが、それを選手のタスクに落とし込むところで壁にぶつかった。選手はサイド攻撃か中央攻撃かどちらかしかできなかったのである。岡田はこの壁を選手のクリエイティビティ、ファンタジーを引き出す方向で解決することを試み、人間力的なオカルトじみた方向に行ってしまった。

 一方、欧州では別の方法が発明され、成功した。選手に「サイド攻撃と中央突破の選択権を持っている」ことを意識させるため、あるいはそれを実用的に運用できる程度のパス距離を維持するため、両者の中間領域であるハーフスペースを定義し概念を植え付け、ハーフスペースでのボール維持と、そこにボールがある場合のプレー選択の判断基準とタスクを定義した。もちろんポジショナルプレーをよく知る方は「ハーフスペースの意義はそんなものではない」とおっしゃられるであろうが、少なくとも岡田が目標としていた試合中のサイド・中央の攻撃経路の選択はこれで実現可能なのは確かだろう。

結び

 というわけで、私個人としては、日本サッカー界の監督たちの問題意識やサッカーという競技の捉え方は、おかしなものではないのではないか、という印象を抱いている。少なくともJリーグで優勝できるような監督は、世界の最新の理論とやらを理解できるだけの土壌、萌芽を持っているように思える。

 しかしながら、逆に岡田武史の限界から、問題も見えてくる。日本サッカー界には知識の体系化・共有と、共有者の増加による改善の増加、末端や門外漢からのフィードバック=ブラッシュアップが足りていないように思えてならない。山本昌邦の統計の不適切な扱いは大学院修士で実験を行っている人ならば容易に指摘できるものであるし、岡田武史がアドバイスを求めに行っている相手は岡田武史の問題を解決するのに適切な人であるようには思われない。ただ、今の欧州サッカーはとにかく金があっていろんな専門家を呼んで試行錯誤もしやすい段階であるから、個々人の質というよりは量の問題かもしれないが……

  ……ラストに一つ言えば、「データを活用しろ」「今のAIはすごい」というようなことをいう人は多いが、前世紀のAIであるアキネイターも作れないような連中、線形分離可能かどうかという発想さえない連中の言う「AI」は所詮バズワードであり、因果と相関の区別や擬似相関について学部生レベルの理解さえしていない連中の言う「データ活用」は聞き流して構わないと思われる。

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ハリル招請への勘繰り、または私見「自分たちのサッカー」

 日本代表がザック、アギーレ、ハリルと続くなか、「自分たちのサッカー」をめぐる言説が多く出されている。今回、その中の一つを読んで、少し反駁したくなったので筆を執ることにした。反駁の対象はこちら、フモフモコラム『痛快な勝利に「アンチ自分たちのサッカー論者」が勢いづくなか、それでもやはり「自分たちのサッカー」を探す旅はつづく。』である。

 筆者のフモフモ氏は、ハリルの特徴とされる、戦術を固定せず相手に合わせ弱点を突くやりかたを「いわばジャンケンのようなもの」と評する。本質的には絶対優位・絶対劣位にある戦術はなく、だからこそ身体的特徴などで絶対優位を追求すべきだという意見である。私はこれに反駁する。サッカーの戦術はジャンケンのような関係に収束するまで成熟していない。氏は「日本はこのレベルに達していないので……」としているが、これは日本だけの問題ではなく、世界のサッカーがそうであるというのが私の意見である。

 ここで、サッカーの戦術の歴史を少し省みてみよう。サッカーの黎明期は、フォワード(FW)5名にバックス(ディフェンダー;DF)5名が分業するスタイルであったとされる。その後攻撃と守備に両方参加するミッドフィールダー(MF)というポジションができ、時代が下るとともにMFの人数は増えていった。この方向への変化はより進み、何らかの形で全員攻撃・全員守備に向かっている。攻撃はDFやゴールキーパー(GK)のビルドアップ、フィードから始まるというのは常識化しつつあり、ワントップのような純粋なFWでさえもビルドアップ妨害のような守備的タスクは必須とされている。古くなるが「トータルフットボール」はそのまま全員攻撃、全員守備という標語ととらえることも可能だろう。

 この方向に変化するのは、リソース管理の考え方からすれば当たり前である。分業時代には常に5人、守備時は攻撃陣が、攻撃時は守備陣が、我関せずと見ているだけになる。MFが入ったとして、ごく単純な4-3-3でMFのみが攻守両方に参加しているだけなら、攻撃時は4名、守備時は3名が余っていることになる。サッカーにおける数の有利は誰でも知るところであり、スタミナが続く限り全員を攻守双方に投入したほうが効率がいいのは当たり前だろう。もちろんスタミナもリソースの一種なので、これを節約するために位置関係は動かさずに攻撃はビルドアップとシュート、守備はビルドアップ妨害とライン形成などのようにより細かい分業が工夫されているものだと理解している。

 原始的な攻守分業スタイルは人的リソースの利用効率が絶対的に劣っており、ジャンケンに例えれば「グーチョキパーの全てに負ける手」である。今後復活する余地はないだろう。逆に言えば、リソース利用効率を高めればまだまだ絶対優位を得られる「グーチョキパーの全てに勝てる手」を開発する余地があるということになる。

 この方向での変化は現在も継続しているように見える。私はサッカーの専門家ではないので断片的知識になるが、少し前から攻守交代時に着目した「トランジション」概念が盛んに言われるようになった。これはプレーを時間で切って守備の動きと攻撃の動きをする時間をなるべく最適化しようという、時間軸で選手の利用効率を高めようという挑戦だろう。なんの衒いもなく単に「相手の隙を突く」という言い方をしてもいいが、攻撃できるときには可能な限り速やかに攻撃的シフトを取る人数を増やし、守備時はその逆といった形で人的リソースの利用効率の話にしても問題ないと考える。

 また、考慮すべきリソースは攻守の人数だけではない。ゾーンディフェンスはそれが開発されて以降標準の地位を得るに至っているが、私はこれを一種のリソース管理であると理解している。これを説明すると:

  1. 常識的に、ボールをゴールに近づけられたら失点の危険が高まる。
  2. 常識的に、ドリブルやパスの距離が延びるほど精度は下がり、成功率も低くなる。

1と2を畳み込めば、失点危険度×発生率=失点(損害)の期待値=失点リスクを表すマップが得られる。このとき、リスクの高いエリアから順に守備選手を配置していけば失点リスクを最小化できるだろう。つまり、守備時における領域のリソース管理と考えることができる。 言葉ではわかりにくいので、模式図的例を出そう。今回は仮に、1.についてボールが前に進むほど失点の危険度が高まり、2.についてボールが単位距離を移動するごとに一定の割合でロストし、成功率は指数関数的に減るものと定義し(図1左)、両者を畳み込んでリスクマップ(図1右)を描いてみた。ボールのある位置より自陣側に高リスクな領域が広がっており、ここに人を配置するべきと理解できる。もちろんリスクマップのモデルの妥当性の問題はあるが、私個人は「ゾーンディフェンスはボール位置が基準となる」ということを初めて教えられたとき、このようなモデルを頭の中に描くことができ、すんなり腑に落ちた記憶がある。

最近ではこのゾーンディフェンスを理詰めで再現性をもって攻略する事例が増えているとのことで、まだまだ「新しい手」の開発は続いており、その中に絶対優位・劣位の関係にあるものも出てくるだろう。

 もちろん、いくら戦術的準備を整えようと、ドリブルでスコスコ抜かれてしまう、あるいは長身FWにクロスを入れられればヘディング打たれ放題になってしまうようでは「戦術的優位性」など容易に崩れ去る。リソース管理の文脈で言い直せば、選手が上手くなることはリソースを追加する、リソースで上回るとなるだろう。個人能力に合わせた戦術のカスタマイズ(これはフモフモ氏の意見と同じであるが)や新しい個人技の開発、個人技教育法の発展を含めれば、サッカーにはまだまだ未踏のフロンティアが多く残されている。今の段階で戦術が成熟しきったジャンケン関係になっているとは到底信じられない。フィジカル・テクニック両面の育成法を極め人間の身体能力で可能となる戦術のすべてを網羅すればその時は訪れるだろうが、当分の間その天井のことは忘れてよさそうである。

 以上のような前提を置いて、私はハリル体制を「結果を残すために現実的戦術を取る」ためのものであるとは理解していない。戦術ジャンケンのやり方を習得し、そのジャンケンで新しい手を開発する方法を習得する、Jリーグを始めとする日本サッカー界が「学び研究するスキル」を獲得するためのモデルケースとなり、自らの手で最先端――言い換えれば「ジャンケンのグーチョキパー全てに勝つ手」に至るための学びの過程であると認識している。もちろん、それが学べばすぐ見つかるようなものではなく、長い研鑽の先にあるものだろう。そして、自分たちの特徴に根差したサッカーというのはむしろそのさらに先まで行ったときに必要となるのではかろうか。

五輪でさえ「将来の日本代表」への貢献度は高くない

しばらく前にU-20の結果が将来を決めると思ってはいけない理由について書いたが、五輪についてはまだいささか幻想があるようである。五輪代表は「将来のA代表予備軍」として捉えられがちで、良い監督を連れてきて結果に拘れという人が結構いるが、実際のところそこまで重要性は高くない。

五輪代表は「半分」の代表

五輪は4年に1回のため、U-23代表で一つの「世代」になるのは五輪開催時20、21、22、23歳の集団になるが、この年齢帯ではどうしても23歳や22歳といった一歩でも早く成長している年齢が有利になり、五輪時21や20では五輪代表に選ばれにくい。このことを過去の日本U-23代表の年齢構成から示す。

2000 2004 2008 2012 2016 合計
OA 3 2 0 2 3 10
23 5 6 4 2 4 21
22 3 5 7 8 5 28
21 4 2 2 3 5 16
20 3 1 3 2 0 9
19 0 2 2 1 1 6

五輪時22~23歳(ここでは「表年」と呼ぶことにする)と21歳以下(「裏年」と呼ぶ)の比率は5:3程度であり、OAも入れて22歳以上と21歳以下に分ければ比率は2:1となる。明らかに「表年」のほうが選ばれやすい。

一方で、選手個々人の成長が「表年」か「裏年」かで変わることはない。すると、20代半ばに差し掛かるころには「裏年」の面々が追い付いてくる。「表年」で晩成型の選手の追い付きや、五輪代表選手のケガなどが重なっていくと、A代表で五輪代表だった選手の比率は下がっていく。それを実際に確かめてみよう。

2017年8月(予選 vsオーストラリア、サウジ)召集メンバーを五輪出場と不出場、五輪時の年齢22以上(表年)、20-21(裏年)、19歳以下(飛び級)で分類した表を以下に示す。なお久保裕也はクラブが拒否していなければ出場していたので出場扱いとしている。世代としてはアテネ2、北京8、ロンドン11、リオ6である。

五輪出場 不出場
表年22- 4 2
裏年-21 8 11
飛び級 2

五輪出場者は14名、五輪不出場が13名でほぼ同数である。また「裏年で五輪不出場」の選手が突出して多いのも見て取れるだろう。ロシアW杯3次予選を支えたのは原口、大迫、昌子、川島といった五輪不出場組の伸びであり、その多くが「裏年」生まれである。A代表の「厚み」はここが支えていると言って過言ではない。五輪出場者についてはリオ世代の「裏年」組が多め(4名)に召集されているためやや多いが、北京組やロンドン組を見る限りは基本的に「表年」「裏年」の数は同程度になるようである。

五輪は「まあまあな選手」の大会

また五輪代表は育成目的のため原則として1回のみの選出であり、香川や井手口など飛び級メンバーが2度選出されることはない。またもはや育成段階を卒業してクラブで国際レベルの試合に出ている場合も出ない場合が多い。日本では久保裕也はEL予選出場のため召集外となった。国外で言えば、すでに活躍してるムバッペ、デンベレあたりがこれから五輪に出場するのはいささか想像しにくいだろう。現在の区部サッカーでは23歳は普通に活躍していなければならない年齢であり、23歳の時点で活躍していればビッグクラブから引く手あまたになる。言ってしまえば五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけに近い部分がある。OAを除いた五輪メンバーは15名程度になるが、日本でさえA代表に安定して残るのは多くて半分程度でしかないし、強豪国は超一流の選手がさらに合流してくるわけで、五輪で結果に拘ろうともそれは将来の代表を占うにはいささか材料が足りない。

また五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけになってしまっており、一発勝負であることから、移籍のためのショーケースとしてはほとんど機能していない。今の移籍事情で22、23はギリギリ若手と呼んでいいが「青田」ではないというところであり、リーグで目立った活躍してなければ引き抜かれることはない。現在はJリーグにも欧州中堅どころのスカウトは当たり前のように来ており、鳥栖の鎌田やFC東京の中島のように普通に引き抜かれていく。五輪経由での移籍は、ロンドン大会の後にA代表での実績込みかつパニックバイで買われた吉田麻也という例外を除けば、五輪で一番頑張ったキャプテンの大津がVVVフェンロに行くのが精いっぱいである。

今時、五輪を凄い大会と位置付けてそれで選手の将来が決まる、あるいはA代表の将来が占われる、などということは考えないほうがいいだろう。

東京五輪だけは例外かもしれない

ただ、東京五輪の時だけは、地元開催で祭りを盛り上げる都合で強力なメンバーが組まれる可能性はある。リオ五輪の時はブラジルはネイマールを招集しているが、通常彼のクラスの選手が五輪代表への召集をOKされることはない。日本の五輪代表もOA枠は毎回たらいまわしになり自ら手を挙げる人は滅多にいないが、東京五輪の時だけは注目度も異なることから事情が変わるかもしれない。もっとも、そうだったからといって、五輪の成績が良かったからといって移籍市場で注目を高める効果はかなり限定的だろう。

独断と偏見で選ぶ日本のダービー

感情的ライバル関係

「偶々今現在の強豪の対戦」ではなく、成績が悪かろうがこの試合だけは絶対に負けられないという度合いで選択したライバル関係

1位 大阪ダービー

地域ライバルと成績ライバルの両方を満たす関係。両方とも4万人規模の専スタを持っており、今後とも日本を代表するダービーで居続けるのではないかと思う。

2位 さいたまダービー

合併の際に浦和・大宮の地域間ライバル関係への注目度が高まったことにより、こちらの注目度も増したのではないかというダービー。成績が似通っていなくても降格の引導を渡すか、優勝戦線から引きずり下ろすかという争いで十分熱くなれる。

3位 長野ダービー

もともと存在する地域間ライバル関係が強く、長野のプロ化自体が松本に対抗してのものである感じさえあり、生まれながらのライバルと言える。

4位 静岡ダービー

サッカー王国伝統の試合だが、遠州と駿州の対立はそこまで激しいとは感じない。

 

親善試合的ダービー

多摩川クラシコ

人工的に設置したイベントの割には定着し盛り上がっているという印象。

ちばぎんカップ

もはや県内ライバルというよりちばぎんカップという行事の印象。

川中島ダービー・富士山ダービー

川中島の戦い、富士山がそれぞれ全国的知名度があるからゆえに冠が成り立つ。雰囲気はむしろ親善的。

バトルオブ九州

試合数の多さもあり定着度は高い印象。個人的にはアビスパとサンガがもっとライバルになれば面白いと思っている。

広島に土木掘り込み方式でサッカー専スタは建つか?

 昨今どのクラブも専用スタジアムを欲しているが、それに立ちはだかる壁となるのが建設コストである。各クラブともそこには工夫を凝らしており、例えばガンバ大阪の新スタは様々な工夫と最新工法の導入で同スケールのスタジアムに比べ半分程度の費用で建設されている。そのような試みの中で、個人的に感心したのはチュウブYAJINスタジアムの土木造成方式である。スタジアム建設コストの大半はスタンドという巨大建造物の建設費用にあるが、フィールドの周囲に斜面があって形成した法面に座席を設置するだけで済むのであれば、そのコストの大半は浮くことになる。実際チュウブYAJINスタジアムの造成費は3~4億円とされ、同サイズのスタジアムの1/3~1/5のコストと評価できる。もちろん安全性確保のために斜面の強度や排水システムの整備が必要となるが、条件に合うスタジアムサイズの丘や窪地、沢があるのならなかなか面白い選択肢であるように思う。

 土木方式での専スタの造成を妄想するにあたり、広島を適地として想定した。広島はJのクラブの中でも最も専スタへの希求が強く、山が街に迫る地形から選択肢が多いためである。もっとも、そのような条件であるから広島市内には山間にもすでに多数の建築物があって選択肢が狭まるほか、軟弱地盤が多く土砂崩れでの災害もあることから、安全性の評価の面で実施不可能なのかもしれない。とりあえず今回は妄想なのでそこは気にしないものとする。

 そういったわけで、広島市の中心から離れていないところでサッカースタジアムに適した地形を探してみた。一層式の観客席で2万人収容のサッカースタジアムを作るには、長辺200m、短辺150m程度が必要になる(参考画像:フクアリ)。そのような形を持つ丘または小さな窪地があれば最適ということになる。地図を眺めまわしていたところ、そのような地形に該当する場所として2地点を発見した。

フクアリ

牛田浄水場第3~第5配水池

市の中心部よりやや北、牛田山のふもとに牛田浄水場という施設が存在し、山裾を造成して配水池が5つ作られている。このうち第5配水池にほぼ被る領域が土木造成方式によるスタジアムに適していそうな地形をしており、土砂災害危険地域でもない。バックスタンド10000人、北側ゴール裏5000人が造成とわずかな建設で確保でき、メーン5000人程度と南側ゴール裏1000名程度のスタンドを建設するだけの負担で建設できそうである。もっとも、既存の第3~第5配水池と被るため、フィールドの直下を配水池とするような配置換えの造成が必須となるので、そこが難しいところか。仮に空き地であれば、駅から順に牛田総合公園、東区スポーツセンター、屋内プール、バラ園などがあり、公園としてこれにサッカー場が加わるのはあまり不自然ではなさそうである。

竜王公園東側

 市中心部より西、太田川放水路を渡ってすぐの山に、竜王公園というスポーツ施設がある。この東側に、民家が5件ほどある小さな沢がある。この沢の分水嶺を切り取ると、長辺250m、短辺175m程の長方形となり、もはやサッカー場を造成ために存在しているとしか思えない地形をしている。急傾斜によるがけ崩れのハザードが指摘されているが、サッカー場を造成するために崖の切り取りとフィールドの埋め立てを実施すると、それも自然解消してしまう。

 公共交通の便がやや悪く駐車場も作りにくいという点や、近隣に大型のマンションがあり騒音補償が必要そうな点、民家があるところがネガティブだが、地形的にはここに作れと言わんばかりである。ついでに言えば、土木造成によるスタジアム建設のイメージは、竜王公園テニスコート脇の法面に座席が配置されていると言えばイメージもしやすいであろう。

以上、単なる妄想ではあるが、意外と建つんじゃないかという印象を持った。比治山、不動院前、広島駅北の双葉山南麓なども地形的には良さそうだが、スペースがないので難しそうである。

AFC懲罰の相場観

まだまとめ途中なので悪しからず。

選手個人の問題

選手個人の問題は基本的に選手個人に出場停止措置が取られる。

粗暴犯

審判による命令の無視

チームの問題

チーム(選手全体+スタッフ)の問題は、基本的にクラブに罰金が科される。

試合準備不備

  • 選手リスト提出遅れ(15分)
  • 予備ゴール不備
  • 試合開始の遅延

広州恒大は選手リスト提出遅れの常習犯(累積期間中6回目)であり、初犯と比較すると約6倍であることから、違反ごとに「単位罰」とでもいうべき目安があり、累積期間中2回目以降は単位罰に累積回数を乗じた罰となるようである。

フェアプレー違反

  • Al Rayyan SC / 24 April 2017 / 試合後の握手拒否 / 罰金1千ドル

観客トラブル

観客トラブルは基本的に無観客試合の対処がとられる。

  • Eastern SC / 25 April 2017 / 観客が英国領香港の旗を持ち込む(独立運動) / 罰金1万ドル
  • Persepolis FC / 10 April 2017 / 観客席で喫煙者がいた / 罰金3千ドル
  • Persepolis FC / 8 May 2017 / 発煙筒持ち込み / 2年で4回目 / 罰金1万ドル、無観客試合1

イースタンSCの英国領香港旗の持ち込みは、以前の試合で広州恒大のサポーターがイースタンSC並びに香港分離派に対する敵意の表明として掲示した「殲英犬 滅港毒」のフラッグへの意趣返しだろう。この例を見ても、正規の国旗として公示された旗以外の国旗(旧国旗、地域旗など)は問答無用で取り締まりの対象となる可能性が高い。

 

出典

浦和・済州戦の裁定は妥当か?

ACL浦和・済州戦での乱闘騒ぎでAFC側から処分内容が発表されましたが、それを受けて現地映像(メーン側バック側)を見直してみました。

AFCの処分

今回の裁定は、かいつまんで説明すれば

  1. 浦和の選手に処罰に値する非はなし
  2. 済州の3選手の罪は重い
  3. 済州スタッフは乱闘に積極関与しておりより重い罰金。
  4. 浦和スタッフも口論で応戦しており乱闘への関与とみなす

というものです。詳細に見た場合、

  • 20番 チョ・ヨンヒョン
    • イエロー2枚で退場(47条)+退場命令無視(63条)+暴行での不品行行為(50条)
    • 6か月追放+罰金2万ドル(50条)
  • 3番 ペク・ドンギュ
    • ベンチから飛び出してエルボーで一発レッド(47条)
    • 3か月追放+罰金1万5千ドル(48条)
  • 5番 クォン・ハンジン
    • 試合後に周囲の選手に暴行でレッド(47条)
    • 罰金1千ドル(48条)
  • 済州
    • スタッフの乱闘への参加(51条)という不品行行為(50条)
    • 罰金4万ドル(50条)
  • 浦和
    • スタッフの乱闘への参加(51条)という不品行行為(50条)
    • 罰金2万ドル(50条)

となっています。今年に入ってから(第40回以降)のAFC規律委員会の処分例を見る限り、初犯ならば

  • プレー中カッとして掌で突き押した→レッド1試合出場停止+追加懲罰1試合出場停止+1千ドル
  • プレー中カッとして拳で殴った→レッド1試合出場停止+追加懲罰6試合出場停止+4千ドル

あたりが相場であり、5番の槙野追いかけ選手は相場通り、3番エルボー選手への処罰はベンチからわざわざ走ってきたことなどを加味したのか、相場から見ても例外的に重い処分と言えます。退場命令無視は3~12か月の追放が通例で、その意味では20番の選手への処罰は相場通りなのですが、それが暴行と比して重いか軽いかは皆さんの判断にお任せします。

試合後の乱闘について

試合後の乱闘については、ぱっと見チーム全体が乱闘しているように見えますが、子細に観察すると済州側の5選手が異常に興奮し、それを済州のスタッフと浦和のスタッフで止めようとしているという構図であることが分かります。特に乱闘序盤で済州の選手を止めようとしているのは済州のスタッフです(腕に白ラインのジャージが浦和、腕が無地のジャージが済州)。異常興奮していたのは以下の5名です(太字:処分済み)。

  • 37番 キム・ウォニル(試合終了直前のもみ合いでイエロー、試合後最初に槙野を攻撃)
  • 5番 クォン・ハンジン(37番のもみ合いを見て槙野を攻撃、試合後の件でレッド+追加出停1
  • 13番 チュン・ウン(槙野を最後まで追いかけた、プレーでイエロー、乱闘未処分)
  • 赤シャツ チョ・ヨンヒョン(イエロー2枚で退場、退場命令無視で乱闘まで居残る+6か月追放
  • 3番 ぺク・ドンギュ(阿部へのエルボーで退場+3か月追放、よく見ると退場後に乱闘に参加)

映像を見る限り、済州側の残りの選手・スタッフはこの5名を何とか止めようとする一方、浦和側にはなるべく離れてくれというジェスチャーを取っており、本件をこの5名による個人の犯行でありチームの残りは止めようとしていたという基準で裁けば、止めきれなかったことの責任が済州2:浦和1であることは妥当な範囲かなと思います。

この試合でのトラブルは、試合終了前の暴行+試合終了後の乱闘の2段階あるのでそれぞれ別に処分するべきだ、ゆえに試合終了後に多数が関わった乱闘の処分が甘いのではないか、という意見は分かりますが、よく見れば乱闘を主導している選手は終了前・終了後のいずれでも一緒であり、5名中3名に追加懲罰、1名はイエロー提示済みであり、8割がた片付いていると言っていいでしょう。AFCが今回示した基準に照らせば、不足していると思われるのは

  • 3番ペク・ドンギュもエルボーで退場しているのに居残って槙野を追い回しており、退場命令無視で+3か月の懲戒を受けるべきである
  • 37番キム・ウォニルと13番チュン・ウンは槙野を追いかけ、止めようとする浦和の控え選手や済州スタッフを突き飛ばすような行為があり、+1試合程度の追加懲罰を受けるべきである

あたりというのが自分の意見です。なお、この5選手は共通して槙野を狙っており、槙野にムカついていたのは確かなのでしょうが、槙野は中指突き立てやfour-letter-wordなどの明白な害意を示していないようで、挑発されたとセルフジャッジして暴行に及んだ5選手の責任は免れませんし、そもそも挑発されたと解釈してもそれは主審とマッチコミッショナーに訴え処分を求めるのが正しく(済州7番の選手はそのようにしている節があります)、暴行に及べば(仮に挑発があったとしても)その責は免れないでしょう。

チームへの処分とあるべき対処法

この5名の暴走に付き合わされて浦和が罰金を支払わされるのは理不尽である、というのはビデオを見直しても思いますし、加えれば、乱闘を主導した選手個人の罪と見るならば、この5名を羽交い絞めにして止めようとしていた済州スタッフが(管理不行き届きを咎められているという部分を除けば)あたかも乱闘に積極的に参加したかのように処分されるのは不適当であるように思いました。

本件では、AFC規律委員会が浦和・済州のスタッフ双方ともが暴走する5選手をなんとか止めようとしていたことを「乱闘への参加」であると判断した、というのも重要であると思います。私個人としてはあれは乱闘を止めようとしていた行為と取れましたし、あれが不十分であるというならAFCは「正しい乱闘の止め方」のガイドラインを提示すべきでしょう。例えば、エキサイトしている選手が多くそのままでは止めきれないとレフェリーが判断した時、レフェリー権限で両者隔離を命じ、試合後セレモニーを威圧した営業妨害で済州から浦和に200万円程度の損害賠償を命じる、といった処置であれば筋が通っているかなと思います。

これはJFAとJ理事会についても同様であり、組織としてAFCの処置に従う方針ならば、それに順じて国内チーム向けに「FIFA/AFCの裁定で乱闘に参加したとみなされない乱闘の止め方」のガイドラインを策定すべきであり、その責任があると思います。

また、済州のクラブへの処分が軽すぎるという意見もありますが、ここまで書いた通り乱闘を主導したのは5名の選手だけで残りは止めようとしていますし、FIFAの目的は「試合をさせる」ことであって、他のプレーヤーが試合をするのを妨害しようとする選手のみ致し方なく出場停止・追放処分とするものであって、今回暴走した5名を止めようとした選手の出場機会を奪うことは望ましいものではないと思います。

補足

Johor Darul Ta’zim 2017/5/31 – 退場命令無視+審判4名への反抗 → 出場停止12か月