プレーオフ制度あれこれ

Jリーグの話題として、2014年シーズンから客寄せのために新たにポストシーズンを追加するという提案がなされている。この是非についての参考資料として、世界のポストシーズン制度とその狙いについて確認してみよう。

レギュラーシーズンが別リーグで行われている場合

ポストシーズンに優勝者決定戦が行われる代表的な例はアメリカのスポーツである。アメフト、野球、バスケ、アイスホッケーの4大リーグのほか、MLSもこれを採用している。アメリカは国土が広いため地区別でリーグ戦を行わざるを得ず、地区別優勝者の間で全米優勝者を決めるという形式が自然と成立した。これがほとんどすべてのスポーツで地区別リーグ+地区優勝者によるポストシーズンが行われる理由である。

日本のプロ野球は地区別制度は採用していないが、戦後GHQ時代にアメリカと同じように同地区に2つのリーグを混在させる方法が導入され、その形式は現在まで続き2つのリーグの優勝者間で日本一決定戦が行われるという形式が採られている。

チーム数が少なく穴埋めに追加試合を行う場合

プロサッカーは興行であるから、客が入る限り試合数を増やして稼ぎたいところである。1年間のリーグ戦日程を考える上で、1カ月程度の休養期間を置くとして、残りの期間がぴったり週1~2日の日程で埋まることが望ましい。通常、18~20チームでホーム&アウェイの2周総当たりによるリーグ戦34~38試合を行い、これにカップ戦と代表戦を加えるとカレンダーはピッタリと埋まることになる。このため、Jリーグをはじめとして多くのリーグでは18~20チームによるリーグ戦が採用されている。

しかしながら、人口の少なさや他の人気スポーツの存在のためにプロとして成立するクラブが12~16クラブ程度しか確保できない場合もある。このような場合、H&Aの2周総当たりに加えてさらに試合を行う必要が出てくる。

このような場合の一つの解決案は3周目以降を追加することである。J2リーグは10チームでスタートしたが、スタート直後はH&Aを2回繰り返して4周する36試合のレギュレーションであった。14~16チームまで増えると4周では試合数が多すぎるため、3周制となっている。Aリーグも現在は他の人気スポーツと被らないようスケジュールを開けて3周制としている。

ただし、3周制ではH&Aが不均等になるという問題がある。この点について解決するために、リーグを半分に分割してH&Aの総当たりを行うプレーオフを行うことが考えられる。これを採用している例は、ベルギーリーグである。ベルギーリーグは16チームによるH&Aの総当たり戦(30試合)を行った後、さらに優勝決定プレーオフ、ヨーロッパリーグ挑戦権プレーオフ、降格プレーオフの3つに分けてH&Aで対戦し、10~14試合程度の追加興行を行う。韓国Kリーグでも2部制採用で1部のチーム数が減ったため、H&Aに加えて上位・下位の半分に分けたプレーオフを加えて年間40試合弱を行うようにしている。

このタイプのリーグ形式プレーオフを採用する利点は、レギュラーシーズン順位が近いチームの対戦に限ることで、実力が拮抗した試合数が増えるということである。リーグ下位のチームはあまり勝てないので集客がどうしても減ってしまうが、拮抗する相手と戦うことで勝利数も増える。上位にとっても気の抜けない戦いが増え、スリリングな展開になる。しかし問題もある。上位プレーオフは優勝を争うので盛り上がるが、下位プレーオフは前向きな目標を喪失しやすく、集客も悪くなってしまう。このため、ベルギーリーグでは下位プレーオフの優勝者にヨーロッパリーグ予選出場権を「釣り餌」として与えてモチベーションを維持している。韓国Kリーグはこの点で失敗しており、前向きな目標のない下位プレーオフはレギュラーシーズンに比して集客が半減するという結果を招いてる。

完全な客寄せで行われる場合

上記のようなスケジューリングの都合によるポストシーズンのほかに、「優勝決定戦」という名目で客寄せすることだけを目的としたポストシーズンも存在する。極端な例がオーストラリアのAリーグであり、10クラブで3周をするリーグ戦を行った後、上位6クラブが参加するチャンピョンシリーズを行ってチャンピョンを決定する。ここまで来るとリーグ戦をほとんど無視した結果が出てくる可能性があり、そうなってしまうとこのポストシーズンが茶番に見えて白ける可能性はある(実際には過去シーズンではポストシーズン優勝はレギュラーシーズン1位か2位のみ)。2013年のJリーグポストシーズン導入案で心配されているのはこのような白けである。現在日本プロ野球でもこのようなポストシーズンが採用されているが、シーズンの重要性がさがり白けを生んでいるとされている。

ただ、良い効果もある。それはタイトル数が増えることでファンの満足度は向上するということである。Aリーグは立ち上がりからクラブが倒産と新設を重ねてほとんど増えておらず、客のつなぎとめにチャンピョンの称号をたくさん出したいという考え方がある。

ただし、Aリーグでもレギュラーシーズン高く扱うという基準は置いており、ACLの出場権割り当てではレギュラーシーズン1位がストレートインであり、ポストシーズン王者はプレーオフに回るというルールとなっている。

メディア的な側面でリーグを盛り上げるために

Jリーグのメディア露出を増やそうとしても、日本のサッカーシーンはどうしても代表が中心になっている。アジアにおいて日本サッカーは確かに人気があるが、Jリーグの放映権は売れていない一方で、本田香川を始め長谷部遠藤ら代表の中心選手が有名であり、代表中心であることは否めない。

この原因についてはいろいろ意見はあり、代表しかみないのはニワカなどという言われ方をすることもあるが、個人的には「日本国内のチームを見渡した時、代表が一番強く、世界に近い」ということが理由にあるように思う。ヨーロッパで代表よりクラブが盛り上がるのは地元クラブのほうが代表より強いことが多いからだろう。また日本でも強いクラブは人気がある。ガンバ大阪がJ2に落ちたが、J2のアウェー戦でJ2史上かつてない異常な集客力を発揮し、全国区の人気があることを見せつけた。またアジアの中でもJリーグを代表するクラブという認識をされている。一つは遠藤と言う有名選手がいるのが理由だろうが、遠藤が代表召集でいないときにも集客力がある。これはガンバというクラブがクラブワールドカップでそれなりにいい試合をしたために有名になったからであると言われている。クラブワールドカップでヨーロッパチームに善戦する、これは人気を獲得する一つの手段だろう。

またJリーグは代表と結び付くと人気が出る。2006~2010は代表選手がJリーグにいることが多く、代表の人気は下がったがJリーグの集客は良かった。2011年以降は選手の海外流出と震災の影響から集客が落ちたが、オール国内組で挑んだ東アジアカップ以降(東アジアカップそのものは視聴率は悪かったが)、大会で活躍した柿谷選手は報道の後押しもあって瞬く間にスターダムにのし上がり、所属のセレッソ大阪には若い女性ファンがたくさん駆けつけるようになっている。またセレッソ人気自体も、香川・清武・乾ら代表選手を輩出したことから代表選手予備軍としてミーハー女性に人気がある(ジャニーズとジャニーズジュニアの関係)という側面もある(それ以外にもセレッソが比較的チャラい雰囲気を醸し出しているという面もあるが)。日本代表の座は「全日本オールスター」の側面もあり、クラブから代表を輩出するとサポーターの満足度は上がる傾向にある(斎藤を育てた愛媛やハーフナーを輩出した甲府)。この例から言えば、「国内組限定代表」を作ることも一つの手かもしれない。

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