海外クラブで自国選手を優遇していても差別と言うのとは違う

現代のクラブサッカー、特に欧州主要リーグでは、各国リーグの自国籍選手の年俸や移籍金が外国籍の選手に比べ割高になるという現象が見られる。例えばプレミアリーグでは、特にリヴァプールがかなり割高と評される値段でイングランド人を集めていたり[1]、ドイツにおいても香川やレヴァンドフスキに比べロイスやゲッツェは倍近い評価額を得ていた。この事実について「差別的」という表現をする人がいるが、それは妥当とは言えない部分が大きい。

このような事態が生じる最も大きな理由は、外国籍選手の制限や自国籍選手の優遇をリーグが明白に掲げているということである。リーガやセリエはEU枠外選手の新規登録に制限がかけられているし、プレミアリーグやブンデスリーガはホームグロウン・ルール、ドイツ人枠などで自国籍選手の出場をある程度義務付けている。このような場合、自国籍選手を全て外国籍選手で置き換えることができないので、両者は経済学的な意味で代替不可能であり、別のマーケットを形成していると考えてよい。各国とも自国籍選手の供給源は世界人口の1%程度(6000万人ほど)である一方で、外国籍選手の供給源は残り99%と圧倒的に多い。自国籍選手と外国籍選手の能力が同じであったとしても、自国籍選手のほうが供給が逼迫しているので値段が上がるわけである。これは国を問わず、Jリーグも始まった当初は世界的には凡庸だった日本人選手がブラジル代表より高い給料を取っているという状態はよくあることであった。リーグに「自国選手育成」という名目を認める限りは、このような事態が生じることは甘受しなければならない。

副次的な理由として、スタジアムに足を運びグッズを買う地元サポーターが地元出身者を支持する傾向にあり、地元サポーターが支持する地元選手は商業的により価値が高い、ということも言える。地元選手の存在によってチケットが売れて地元選手のユニフォームがよく売れるのであれば、それはクラブにとって価値があることであり、その選手を引きとめるために給料を高くするのは当然であると言える。これもJリーグでよく観察される事例であり、クラブサポーターは地元高校出身者や自クラブのユースの生え抜きを好む傾向がある。また個人ファンが多い選手が経済的にも優遇されるのは、有名どころで言えばベッカムはMLS時代でさえそうであった。

日本人選手がヨーロッパで賃金的評価が低かったとしても、それは自国リーグは自国選手育成の場であるという名目が認めれている中で、市場のメカニズムから自然に生じてくることであって、サッカー選手としての評価とは少し次元が異なる部分で賃金差がついているだけである。どうしてもそれに納得できないなら、自国リーグを自国のサッカーレベルに合わせて繁栄させるしかないだろう。

[1]リバプールが支払った27億円は妥当?ダウニングの「プレミアム」の値打ち。
http://number.bunshun.jp/articles/-/148275

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