浦和・済州戦の裁定は妥当か?

ACL浦和・済州戦での乱闘騒ぎでAFC側から処分内容が発表されましたが、それを受けて現地映像(メーン側バック側)を見直してみました。

AFCの処分

今回の裁定は、かいつまんで説明すれば

  1. 浦和の選手に処罰に値する非はなし
  2. 済州の3選手の罪は重い
  3. 済州スタッフは乱闘に積極関与しておりより重い罰金。
  4. 浦和スタッフも口論で応戦しており乱闘への関与とみなす

というものです。詳細に見た場合、

  • 20番 チョ・ヨンヒョン
    • イエロー2枚で退場(47条)+退場命令無視(63条)+暴行での不品行行為(50条)
    • 6か月追放+罰金2万ドル(50条)
  • 3番 ペク・ドンギュ
    • ベンチから飛び出してエルボーで一発レッド(47条)
    • 3か月追放+罰金1万5千ドル(48条)
  • 5番 クォン・ハンジン
    • 試合後に周囲の選手に暴行でレッド(47条)
    • 罰金1千ドル(48条)
  • 済州
    • スタッフの乱闘への参加(51条)という不品行行為(50条)
    • 罰金4万ドル(50条)
  • 浦和
    • スタッフの乱闘への参加(51条)という不品行行為(50条)
    • 罰金2万ドル(50条)

となっています。今年に入ってから(第40回以降)のAFC規律委員会の処分例を見る限り、初犯ならば

  • プレー中カッとして掌で突き押した→レッド1試合出場停止+追加懲罰1試合出場停止+1千ドル
  • プレー中カッとして拳で殴った→レッド1試合出場停止+追加懲罰6試合出場停止+4千ドル

あたりが相場であり、5番の槙野追いかけ選手は相場通り、3番エルボー選手への処罰はベンチからわざわざ走ってきたことなどを加味したのか、相場から見ても例外的に重い処分と言えます。退場命令無視は3~12か月の追放が通例で、その意味では20番の選手への処罰は相場通りなのですが、それが暴行と比して重いか軽いかは皆さんの判断にお任せします。

試合後の乱闘について

試合後の乱闘については、ぱっと見チーム全体が乱闘しているように見えますが、子細に観察すると済州側の5選手が異常に興奮し、それを済州のスタッフと浦和のスタッフで止めようとしているという構図であることが分かります。特に乱闘序盤で済州の選手を止めようとしているのは済州のスタッフです(腕に白ラインのジャージが浦和、腕が無地のジャージが済州)。異常興奮していたのは以下の5名です(太字:処分済み)。

  • 37番 キム・ウォニル(試合終了直前のもみ合いでイエロー、試合後最初に槙野を攻撃)
  • 5番 クォン・ハンジン(37番のもみ合いを見て槙野を攻撃、試合後の件でレッド+追加出停1
  • 13番 チュン・ウン(槙野を最後まで追いかけた、プレーでイエロー、乱闘未処分)
  • 赤シャツ チョ・ヨンヒョン(イエロー2枚で退場、退場命令無視で乱闘まで居残る+6か月追放
  • 3番 ぺク・ドンギュ(阿部へのエルボーで退場+3か月追放、よく見ると退場後に乱闘に参加)

映像を見る限り、済州側の残りの選手・スタッフはこの5名を何とか止めようとする一方、浦和側にはなるべく離れてくれというジェスチャーを取っており、本件をこの5名による個人の犯行でありチームの残りは止めようとしていたという基準で裁けば、止めきれなかったことの責任が済州2:浦和1であることは妥当な範囲かなと思います。

この試合でのトラブルは、試合終了前の暴行+試合終了後の乱闘の2段階あるのでそれぞれ別に処分するべきだ、ゆえに試合終了後に多数が関わった乱闘の処分が甘いのではないか、という意見は分かりますが、よく見れば乱闘を主導している選手は終了前・終了後のいずれでも一緒であり、5名中3名に追加懲罰、1名はイエロー提示済みであり、8割がた片付いていると言っていいでしょう。AFCが今回示した基準に照らせば、不足していると思われるのは

  • 3番ペク・ドンギュもエルボーで退場しているのに居残って槙野を追い回しており、退場命令無視で+3か月の懲戒を受けるべきである
  • 37番キム・ウォニルと13番チュン・ウンは槙野を追いかけ、止めようとする浦和の控え選手や済州スタッフを突き飛ばすような行為があり、+1試合程度の追加懲罰を受けるべきである

あたりというのが自分の意見です。なお、この5選手は共通して槙野を狙っており、槙野にムカついていたのは確かなのでしょうが、槙野は中指突き立てやfour-letter-wordなどの明白な害意を示していないようで、挑発されたとセルフジャッジして暴行に及んだ5選手の責任は免れませんし、そもそも挑発されたと解釈してもそれは主審とマッチコミッショナーに訴え処分を求めるのが正しく(済州7番の選手はそのようにしている節があります)、暴行に及べば(仮に挑発があったとしても)その責は免れないでしょう。

チームへの処分とあるべき対処法

この5名の暴走に付き合わされて浦和が罰金を支払わされるのは理不尽である、というのはビデオを見直しても思いますし、加えれば、乱闘を主導した選手個人の罪と見るならば、この5名を羽交い絞めにして止めようとしていた済州スタッフが(管理不行き届きを咎められているという部分を除けば)あたかも乱闘に積極的に参加したかのように処分されるのは不適当であるように思いました。

本件では、AFC規律委員会が浦和・済州のスタッフ双方ともが暴走する5選手をなんとか止めようとしていたことを「乱闘への参加」であると判断した、というのも重要であると思います。私個人としてはあれは乱闘を止めようとしていた行為と取れましたし、あれが不十分であるというならAFCは「正しい乱闘の止め方」のガイドラインを提示すべきでしょう。例えば、エキサイトしている選手が多くそのままでは止めきれないとレフェリーが判断した時、レフェリー権限で両者隔離を命じ、試合後セレモニーを威圧した営業妨害で済州から浦和に200万円程度の損害賠償を命じる、といった処置であれば筋が通っているかなと思います。

これはJFAとJ理事会についても同様であり、組織としてAFCの処置に従う方針ならば、それに順じて国内チーム向けに「FIFA/AFCの裁定で乱闘に参加したとみなされない乱闘の止め方」のガイドラインを策定すべきであり、その責任があると思います。

また、済州のクラブへの処分が軽すぎるという意見もありますが、ここまで書いた通り乱闘を主導したのは5名の選手だけで残りは止めようとしていますし、FIFAの目的は「試合をさせる」ことであって、他のプレーヤーが試合をするのを妨害しようとする選手のみ致し方なく出場停止・追放処分とするものであって、今回暴走した5名を止めようとした選手の出場機会を奪うことは望ましいものではないと思います。

補足

Johor Darul Ta’zim 2017/5/31 – 退場命令無視+審判4名への反抗 → 出場停止12か月

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