五輪でさえ「将来の日本代表」への貢献度は高くない

しばらく前にU-20の結果が将来を決めると思ってはいけない理由について書いたが、五輪についてはまだいささか幻想があるようである。五輪代表は「将来のA代表予備軍」として捉えられがちで、良い監督を連れてきて結果に拘れという人が結構いるが、実際のところそこまで重要性は高くない。

五輪代表は「半分」の代表

五輪は4年に1回のため、U-23代表で一つの「世代」になるのは五輪開催時20、21、22、23歳の集団になるが、この年齢帯ではどうしても23歳や22歳といった一歩でも早く成長している年齢が有利になり、五輪時21や20では五輪代表に選ばれにくい。このことを過去の日本U-23代表の年齢構成から示す。

2000 2004 2008 2012 2016 合計
OA 3 2 0 2 3 10
23 5 6 4 2 4 21
22 3 5 7 8 5 28
21 4 2 2 3 5 16
20 3 1 3 2 0 9
19 0 2 2 1 1 6

五輪時22~23歳(ここでは「表年」と呼ぶことにする)と21歳以下(「裏年」と呼ぶ)の比率は5:3程度であり、OAも入れて22歳以上と21歳以下に分ければ比率は2:1となる。明らかに「表年」のほうが選ばれやすい。

一方で、選手個々人の成長が「表年」か「裏年」かで変わることはない。すると、20代半ばに差し掛かるころには「裏年」の面々が追い付いてくる。「表年」で晩成型の選手の追い付きや、五輪代表選手のケガなどが重なっていくと、A代表で五輪代表だった選手の比率は下がっていく。それを実際に確かめてみよう。

2017年8月(予選 vsオーストラリア、サウジ)召集メンバーを五輪出場と不出場、五輪時の年齢22以上(表年)、20-21(裏年)、19歳以下(飛び級)で分類した表を以下に示す。なお久保裕也はクラブが拒否していなければ出場していたので出場扱いとしている。世代としてはアテネ2、北京8、ロンドン11、リオ6である。

五輪出場 不出場
表年22- 4 2
裏年-21 8 11
飛び級 2

五輪出場者は14名、五輪不出場が13名でほぼ同数である。また「裏年で五輪不出場」の選手が突出して多いのも見て取れるだろう。ロシアW杯3次予選を支えたのは原口、大迫、昌子、川島といった五輪不出場組の伸びであり、その多くが「裏年」生まれである。A代表の「厚み」はここが支えていると言って過言ではない。五輪出場者についてはリオ世代の「裏年」組が多め(4名)に召集されているためやや多いが、北京組やロンドン組を見る限りは基本的に「表年」「裏年」の数は同程度になるようである。

五輪は「まあまあな選手」の大会

また五輪代表は育成目的のため原則として1回のみの選出であり、香川や井手口など飛び級メンバーが2度選出されることはない。またもはや育成段階を卒業してクラブで国際レベルの試合に出ている場合も出ない場合が多い。日本では久保裕也はEL予選出場のため召集外となった。国外で言えば、すでに活躍してるムバッペ、デンベレあたりがこれから五輪に出場するのはいささか想像しにくいだろう。現在の区部サッカーでは23歳は普通に活躍していなければならない年齢であり、23歳の時点で活躍していればビッグクラブから引く手あまたになる。言ってしまえば五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけに近い部分がある。OAを除いた五輪メンバーは15名程度になるが、日本でさえA代表に安定して残るのは多くて半分程度でしかないし、強豪国は超一流の選手がさらに合流してくるわけで、五輪で結果に拘ろうともそれは将来の代表を占うにはいささか材料が足りない。

また五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけになってしまっており、一発勝負であることから、移籍のためのショーケースとしてはほとんど機能していない。今の移籍事情で22、23はギリギリ若手と呼んでいいが「青田」ではないというところであり、リーグで目立った活躍してなければ引き抜かれることはない。現在はJリーグにも欧州中堅どころのスカウトは当たり前のように来ており、鳥栖の鎌田やFC東京の中島のように普通に引き抜かれていく。五輪経由での移籍は、ロンドン大会の後にA代表での実績込みかつパニックバイで買われた吉田麻也という例外を除けば、五輪で一番頑張ったキャプテンの大津がVVVフェンロに行くのが精いっぱいである。

今時、五輪を凄い大会と位置付けてそれで選手の将来が決まる、あるいはA代表の将来が占われる、などということは考えないほうがいいだろう。

東京五輪だけは例外かもしれない

ただ、東京五輪の時だけは、地元開催で祭りを盛り上げる都合で強力なメンバーが組まれる可能性はある。リオ五輪の時はブラジルはネイマールを招集しているが、通常彼のクラスの選手が五輪代表への召集をOKされることはない。日本の五輪代表もOA枠は毎回たらいまわしになり自ら手を挙げる人は滅多にいないが、東京五輪の時だけは注目度も異なることから事情が変わるかもしれない。もっとも、そうだったからといって、五輪の成績が良かったからといって移籍市場で注目を高める効果はかなり限定的だろう。

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