Prospect of Celtic with Ange: point of view from Japan

Will Ange make Celtic the league champion?

I believe Celtic will be the champion from the second year onwards; I’m not so sure about the first year.

As many Australians have explained, his tactics would require a year of preparation before they could reach their full potential. Yokohama had big wins and close losses in his first season. If this is to be repeated, fans should be prepared for a certain amount of games like the one against Hearts in this season. From the second year, fans can expect to get many results like the one against Dundee.

A root of Ange’s idea is simple: more goals, more fan. Basically, he uses a lot of resources for offense. Sometimes, however, defensive resources are in short. He needs fine-tuning to find the optimal balance between offense and defense.

Can Kyogo keep scoring goals in the future?

Basically, yes. He was also a consistent scorer in the J.League.

But he is not a six-foot muscular man, so he’s not effective as No.9 when the opponents park the bus in front of their goal, I think. If that happens, he could play on the wing or as a No.10.

For many strikers, the number of goals they score varies greatly depending on their environment. Remember Fernando Torres, for example. He scored 65 goals in 102 games for Liverpool, but only 20 goals in 110 games for Chelsea. If Kyogo had been with another SPL club, it is unlikely that he would have been playing as a No.9 and would have been treated as a mediocre winger. His dreamy debut in Paradise came about because Ange was team’s manager and Ange needed him.

Will Kyogo (and Ange) make sales in Japan (and Australia) for the Celtic?

Basically no, but partially yes. John Duerden has already written an answer to this question.

If single prominent player is in a country, the player will gather nation-wide sales from the country, and sometimes amount of the sales exceeds £10 million. Twenty years ago, it was Nakata and Nakamura, and ten years ago it was Honda and Kagawa who were such prominent players in Japan. In other Asian countries, Son Heung-min of Korea and Wu Lei of China are such money-making players.

So is Kyogo such a prominent player in Japan? No. The current Japanese international squad has many players at similar level: Kamada (Frankfurt), Ito (Genk), and Doan (PSV) are highly rated in their leagues, while Minamino and Kubo are with mega clubs and are on loan within their leagues. For each position of Japan squad, from forward to defender, one or two players are at the level of UEFA Europa League, and Kyogo is one of them. He won’t become a national megastar unless he makes a big splash in the World Cup.

By the way, he’s one of the stars. Kobe (the city of his former team) has a population of one million people. In my opinion, Kyogo can make sales in Japan from £0.1 to 1 million (on aggregate of shirt sales, sponsorship and TV revenue). That money won’t make Celtic a mega club, but it is worth the annual salary of few backup players.

Can Celtic recruit good players from Japan?

There are some players in Japan who would be good in the SPL, but you should ask Ange for specific names.

In general, the best players in the J.League can be expected to do well in the SPL. Players who are named Team of the Year in the J-League often receive Team of the Year or equivalent recognition in the “second tier” European leagues as well. Such players include Morioka and Ito in Belgium, and Morita in Portugal. Now Kyogo has been added to this list. When young stars (nominated for the youth national teams) move to the “second tier” leagues, half of them will succeed.

Sint-Truiden, a club in Belgian league, is a good benchmark for the J.League, as it is owned by Japanese capital and hires many Japanese players. In this club, half of the Japanese players have led the club to a higher level. Tomiyasu, Kamada and Endo are some of the best examples. On the other hand, half of the Japanese players left the club after failing to make an impact. In my opinion, J.League can be considered to be equivalent to Band 2 or Band 3 as defined by the English FA.

When evaluating players and teams in the J.League, it should be noted that the performance of individual clubs is unstable due to good balance throughout the league (The same can be said for the A-League in Australia). In this league, very small changes can make a big difference in the final standings. Within the last 10 years, J.League clubs that have participated in the Asian Champions League (ACL) have been relegated twice. The most typical example is Gamba Osaka in 2012, which played in the ACL, scored the most goals in the league, and even had a positive goal differential, yet was relegated. Yasuhito Endo, the club’s leader, continued to be nominated for the international squad while in J2.league (domestic second tier). Ange’s team was certainly in the middle of the table at 2020, but his record as a manager was one of consistency in the J.League.

Contrary, a few superpowers dominate the league in most of European leagues: e.g. Celtic and Rangers in the SPL, Real Madrid and Barcelona in Spain, Bayern and Dortmund in Germany, and the “big three”s in the Portugal, Netherlands and Turkey. If you are trying to buy players from Eastern European leagues, scouting domestic superpower such as Red Star Belgrade or Dinamo Zagreb will suffice, as those clubs attract good domestic players. Structure of J.League is totally different from those leagues. If J.League clubs participated in European leagues, both champions and relegated teams would often find themselves in the middle of the table.

「選別」は「育成」ではない

世間では「鬼滅の刃」が大流行しているが、私としては中身を知った結果として若干渋い顔をしている。というのも、作中の主人公側の団体「鬼殺隊」が以前に記事として取り上げたスポーツ界のパワハラの典型構造ををしていたためである(フィクションに突っ込むのが野暮なのは承知しているが、前に記事を書いた身として書かざるを得ない、ということでお願いしたい)。

「鬼滅の刃」の「鬼殺隊」は、育成中の若手に過大な負荷をかけ、結果的にその過半数が死んでしまう。いや、「育成」という言い方は正しくない。作中で明言されている通りこれは「選別」であり、選良を得ることが目的であり、その過程で選別落ちしたものは壊れても構わない、というスタンスをとっている。

これはスポーツ界のパワハラ案件でも同様の意見を見かける。スポーツ界のパワハラは「負荷をかけるほど強くなる」「負荷に耐え抜いたものだけが本当に強い」「最善のチームを得るのが最優先であり、その過程で壊れる選手がいても気にする必要はない」といった信念によって齎されることが多い。

また、両者に共通する特徴として、リーダーが異常なカリスマ性を持っていることも挙げられる。同級生が何人も死ぬといった状況は普通の未成年なら確実にトラウマになるが、「鬼滅の刃」の作中の隊の指導者は隊員に慕われている。この構造はスポーツ界のパワハラでも共通である。以前に言及したベルマーレ湘南や米ラトガース大のパワハラでは、パワハラ環境下で残った「選良」の選手たちは(その過程で何人もの選手が壊れたことを無視して)監督に対する尊敬の念を公にしていた。批判的な言い方をさせてもらえば、「鬼殺隊」におけるリーダーのカリスマ性は、暴力が横行し支配のツールとして使われる組織として、非常にリアルですらある。

ただ、現代の価値観においてそれが許されないことであるのもまた確かであろう。少なくとも誰しもが受けるであろう教育、育成の段階は選別ではない。戸塚ヨットスクールのように主宰者と目的を共有せず客観的に見た場合には、誰しもがそれを許すべきではないものと思うだろう。単純にリソースの損得という概念で見ても、どのように成長するか分からない子供を早期選別してしまうメリットは薄いように思われる。また、大人においても人を使いつぶすようなやり方は許されないことは前回のパワハラ記事でも書いたことである。

作中の「鬼殺隊」は死ぬことが前提であるし、ミステリー作品に対して「殺人事件を描くなんて不道徳だ」と非難するのが野暮なように、フィクションに現実のパワハラの物差しを当てても詮無いことだが、大いに流行っていることでもあり、一応念のためあれはスポーツ界のパワハラに典型的に見られる構造でスポーツ界からは排除中のものである、ということはメモとして書かせていただいた。

外国語の固有名詞の基準点

日本人が欧州の有名どころ以外に移籍することが増えるにつれ、固有名詞の読み方の扱いが話題になることも増えてきた。代表的なのがベルギーの都市ブルッヘで、現地読みではブルッヘなのだが、日本語での観光案内ではフランス語読みのブリュージュや英語読みのブルージュのほうが多く使われており、表記が安定しない。

表記を安定させるには何らかの基準点を置いたほうが良いと考えるが、その基準の置き方をいくつか挙げてみよう。

外務省基準

一つの基準点は、外務省(大使館)の採用している読み方をそのまま流用する方法である。例えばベルギー大使館は「ブリュージュ」を採用しているので、当地のクラブのカタカナ表記はクラブ・ブリュージュかクルブ・ブリュージュになる。

この方法をとるメリットは、日本語で最も普及した読み方を採用できる可能性が高く、報道関係では多くの人に誤解なく伝わることが期待できる、という点だろう。

欠点としては、外務省がカバーしていないマイナー都市や人名の表記で基準となる模範例が見つかりにくい、ということになるだろうか。

現地読み・本人母語(エンドニム)基準

一番確実と思われるのが、都市であれば現地読み、人名であれば本人自身の母語による読みを採用する方法である。初出例の場合は「ブルッヘ」になる。この方法は、ほとんどの場合で「正解」を一意に決めることが出来るので、採用しやすい方法である。

「ほとんど」と書いたが、例外もある。例えば、スペイン語やポルトガル語には「ll」表記をL扱いで読むかY扱いで読むかJ扱いで読むかという揺れ(ジェイスモ)が存在し、方言的に分布しているうえに混在地域(下記の図では薄紫)もある。特に混在地域では「現地読み」を一意に決められないので、Mallorcaを「マリョルカ」とするか「マヨルカ」とするか「マジョルカ」とするか決めることが出来ない。

Yeísmo

人名では、特に国籍も移した移住者の「母語読み」が定めにくい時がある。これは筆者の体験談なのだが、アメリカで会ったGaloisさんを、フランス出身者と推定してガロワさんと呼んでいたのだが、本人は2世で「親はガロワと言ってるけど自分はガロイスと名乗っているよ」と言われたことがある。今のサッカー界には移民、移民2世はあふれており、アメリカ人のPulisicをプリシックと呼ぶかプリシッチと呼ぶか、Mbappéを本来の読みであるムバペとするか、本人の生まれたフランスの読みでエムバペとするかなど定まりにくいことが多い(Wikipedia情報によると本人自称はエムバペのようだ)。

また、この方法を杓子定規に当てはめると、オーストリアをエスタライヒ(Österreich)と表現する必要があるなど、日本語でなじみのある表記から外れる可能性があるのも悩ましいところである。

現地実況基準

あるリーグでプレーしているのであれば、リーグの現地実況で使われている読み方を採用するのも手である。近年は現地実況でも選手本人のエンドニムを採用する傾向にあり、プレミアリーグでもGiroudはジロードではなくジルー、Kovacicはコバシックではなくコバチッチと実況される。

ただ、first nameのように欧州で共有されている名前の場合まで気が及ばないらしく現地読みがそのまま使われることが多い。セルヒオ・アグエロは英語実況を聞いているとセルジオ・アグエロと呼ばれていることがままある。これはプレミアリーグの例だが、他のリーグ・多言語でも傾向は同じだろう。

この方法を採用した場合、リーグを移った場合に表記が変わってしまうことがあるのが大きな問題だろう。また、ベルギーのように一国内に複数の公用語があるときは地名の扱いが難しくなる。

英語基準

英語がメジャー言語なので英語で統一するというのは、個人的にはあまりいいとは思わないが、一つの方法ではある。実際、フランス人選手のヴァーレル・ジェルマンは、スポーツナビでは「ヴァレル・ジャーメイン」と書かれ続けている[*脚注1]。

海外リーグを日本で視聴する場合、日本語実況が付かない場合は、汎用海外向け放送として英語実況が入りのものが放送されることが多い(日本でなくともそうだろう)。この手の英語実況者は現地読みに精通していないことが多く、スペルをそのまま英語風に読む場合がままある。このようなケースを考えると、やむを得ないのかもしれない。

聞き取り基準vsスペル転写基準

エンドニムかリーグ実況かどちらかの基準を採用した場合、もう一つ基準点を追加で定める必要がある。現地読みをカタカナで書きとる場合、「日本人にとってそう聞こえた」ままに書きとる場合と、もともとのスペルが復元できるようにしておく場合の二つの流儀がある。大まかに言えば、英語のWhat time is it nowは英語の学習をせずに聞き取ると「堀った芋いじるな」と聞こえる[*脚注2]が、スペルの復元しやすさを考えれば「ワット・タイム・イズ・イット・ナウ」と書く、という違いである。

サッカーで有名どころでは、ポルトガルやブラジルのRonaldoは一般的に「ロナウド」と書くが、Rの有声口蓋垂摩擦音[ʁ]がハ行に聞こえる人で「ホナウドが正しい」と執拗に主張している人がいる(日本語のハ行は無声声門摩擦音[h]なので結構違う音である)。

末尾子音も扱いが難しい。例えば、バリャドリッドについて末尾の子音が聞こえないとして「バリャドリ」と表記する人もいる。ただ、スペイン語は母音が多い言語のため末尾の子音が聞こえないことが多いものの、フランス語のように無声化しているわけではなく、バリャドリッドの末尾のdは英語並みに発音しているので、転写から落とすのは「聞き手の感覚」を出しすぎの感もある[*脚注3]。しかし、広東語の入声の場合――例えば「広州富力」の「力」は転写上はlikと書き、「kの発音をする喉の形で発音を止める」という発音の仕方をする。入声慣れしていない日本人には力のlik(6)と擸のlip(6)の発音を区別するのはまず不可能だが、慣れればできる。このくらい弱い発音を入れるか落とすかは悩ましいところである(昔の日本人は入れる選択をし、日本語標準の音読みは「リキ」になっている)。

「現地読み」と一口に言っても、こちらのほうも基準を定めなければならない。

 

[脚注1] ジャーメイン良も同じスペルである。

[脚注2] 実際、iPhoneで英語キーボードにしたうえで音声入力に「ハロー、グーッド、堀った芋いじるな」と言うと「Hello good what time is it now」と出るので、「聞いたまま」もあながち間違っていない。

[脚注3] 「バジャドリ」「バヤドリ」という表記も見るが、バリャドリッドは(「標準語」マドリッドと同じく)非ジェイスモ地域であり、エンドニムは「バリャドリッド」が妥当な転写であることは間違いない。

楽天スーパーセールを使ってみよう

筆者はヴィッセルが大盤振る舞いの補強を初めて以降、J全体への話題性の提供への応援の意味も含めて楽天を使う回数を増やしている。

楽天は「攻略」するとお得に使うことが出来る。例えば今開催中のスーパーセールは、大まかに言えば1週間で10店舗で買い物すると1割相当のポイントが(上限1万ポイントで)付与されるというものであるが、当然楽天以外で買ったほうが安いものもあり、通販ゆえに送料をにらみつつ10店舗分の商品を膨大な情報とにらめっこしながらパズルのピースを嵌めるように「攻略」する必要がある。

ただ、高々1割引き、高々1万円引き(しかも1か月後に1か月間期間限定ポイントという扱いづらいもの)のためにそこまで苦労するのは、正直言って割に合わない。買い物パズルの「攻略」が好きな人なら楽天のキャッチフレーズ通り「Shopping is Entertainment!」なのだろうが、そうでない人にとっては楽天は全体的に意図的に面倒くさく作ってあるという印象となり、敬遠しがちである。

とはいえ、楽天応援のためにいくばくか「攻略」した経験から、楽天を敬遠している人向けに、自分なりの「攻略」法を伝えたいと思う――

我流・楽天「攻略」法

楽天に思考・時間リソースを食われずに楽天を「攻略」する基本的な戦略は、

  1. セール抜きでも楽天で買うのが一番お得なものを
  2. 楽天スーパーセールに合わせて定期購入する
  3. それに合わせてもともと欲しかった品などを追加割引付きで買う
  4. 期間限定ポイントは自分へのご褒美にするなり消耗品を買うなりして短期間で消費する

以上である。まず第一に重要なのは、「セール抜きでも楽天で買うのが一番お得なもの」を知ることである。その典型的な商品は茶葉である。実を言えばヴィッセルの積極補強以前から茶葉だけは楽天で買っていたほどである。その理由を分解すれば:

  1. 重量当たり単価がそこそこ高い
    1. 実店舗のコストより倉庫+宅配のコストのほうが安くなりやすい。
  2. 種類豊富で小規模生産者が多い
    1. 商品バラエティが豊かで、品質重視の選別品もコスパ重視の産直商品も選択肢があり、味めぐりの楽しみがある。少量多品目対応は、モール形態の楽天がアマゾン(地雷原となったマケプレ除く)やヨドバシに対して持つアドバンテージとなっている。
  3. 消耗品だが、日持ちし、購入間隔が長めである
    1. スーパー等では回転が悪い地雷を踏むことがままあるが、通販の人気店はその心配が少ない。楽天スーパーセールとの相性もいい。

以上を踏まえて、上記条件を満たす商品を挙げていくと:

緑茶、烏龍茶

理由は上述の通り。ほうじ茶やコーヒーは鮮度重視のため少量を頻繁に買っており、楽天では買わない。

スパイス

日本茶と同様の理由。カルディでアジアンスパイスをよく買うとか、麻婆豆腐用の花椒を大量に消費するとか、そういう人は楽天で3か月に1度定期購入くらいのペースがお得なことがままある。

アロマオイル

たまに使ったりするのだが、これも上記条件を満たす。

サプリ、風邪薬、目薬

チェーンのドラッグストアの楽天店が一番安い商品がままある。自分は昔から水溶性ビタミンやハイエンド目薬を毎日のように使いドラッグストアで補充していたが、半年に1~2回、楽天で送料無料になるまでまとめ買いするほうがお得であり、管理もしやすかった。ただし規格品のため、大手流通のほうが安い場合も多い。

 

 

 

曺貴裁監督のパワハラ報道と法律・JFA規定について

湘南の監督にパワーハラスメント(以下パワハラ)疑惑が浮上し、にわかに喧しくなっている[参照]。従前から氏の指導はスパルタ的であることが知られており、それをパワハラとすることに不満を示す意見も散見される。

しかしながら、世間一般の倫理規範として、あるいは厚生労働省の方針として、パワハラはなくすべきとする方向に動いている。JFAも2012年の桜宮高等学校バスケットボール部体罰自殺事件を受けて「サッカー界から体罰や暴力行為を撲滅」「サッカーの活動における暴力根絶」等強い口調で意思表示をしており、実際通報窓口を設置するようになったことから、体育会系にはありがちだからとなあなあな判断で済ますということには考えにくい。このような背景を前提として、厳しい判断が行われた場合どうなるかについて軽くおさらいしていく。

パワハラの基準はある程度明示されている

今回監督を擁護する発言で一番多いのは「どこまでがパワハラか分からない」「人によるし、私は感謝している」「スパルタのほうが伸びる選手がいる」といった意見であろう。このような疑問は一般就業環境でもパワハラが問題視され始めたときにも多く出たようで、厚生労働省は2012年にはガイドラインを出し始め、「パワーハラスメントの定義について」などの文書を公開している。またJFAも体罰対策として懲罰規定に具体的な例を加えるようになっている[参考]。これに基づいて、報道にある曺監督の行動を振り返ってみよう。

報道によれば、監督は以下のような行動を行ったとされる。

同監督は、複数人の前でチーム関係者の能力を疑問視したように「どれだけ無能なんだ」「お前はウソつきだ」などと人格を否定するような発言を行った。また机をたたいたり、扇風機を蹴りながら選手に罵声を浴びせる行為が日常的にあった、とされる。精神的な苦痛や過度のプレッシャーから練習場に行けず、うつ病などを発症した関係者もいたという。

スポーツ報知 【湘南】曹貴裁監督にパワハラ疑惑、Jリーグが今月中にも調査へ 2019年8月12日

選手、スタッフの前で扇風機を蹴飛ばし、壊した台数は複数。激高してペンを床にたたきつけることもあった。……ある選手はグラウンドに出ると嘔吐を繰り返すようになった。関係者は「ウオーミングアップ中に“ちょっと、トイレに”とトイレに駆け込むんです。戻ってくると“吐いてきました”と」。精神的な苦痛が体に不調を起こし、パフォーマンスは低下するばかり。次第にその選手は練習場に来ることすらできなくなった。

日刊スポーツ 複数選手心折れ練習困難、湘南曹監督パワハラ謹慎へ 2019年8月13日

今季も試合後の控室でミスをした選手を激しい口調で責め、スパイクをけり飛ばす行為があったという。昨季限りで他クラブに移籍した選手の中には、シーズン途中で練習に出てこられなくなった選手が複数いた。

朝日新聞 「滑ってんじゃねーかよ」スパイク蹴る…湘南監督に指摘 2019年8月13日

上記のような行為は、(もし本当にあったのなら)厚労省の示す以下の定義すべてに該当する。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること → 監督が行う
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること(その態様が相当でない) → 暴言、扇風機やスパイクを蹴るなど改善指示を伝えるだけなら不必要な威圧
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること(当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じる) → 練習場に行けなくなる選手・スタッフがいた。嘔吐など身体性の反応を伴う精神症状が出た

監督の叱責が適正な範囲を超えていることは、ガイドラインでは以下のように示されている。特に扇風機等を壊す行為は、改善指示の伝達上まったく不必要な行為であり、事実であれば疑義なくクロ判定となるだろう。

②「精神的な攻撃」
・「馬鹿」「ふざけるな」「役立たず」「給料泥棒」「死ね」等暴言を吐く。
・大勢の前で叱責する、大勢を宛先に入れたメールで暴言を吐く。
・十分な指導をせず、放置する。
・指導の過程で個人の人格を否定するような発言で叱責する。
・ため息をつく、物を机にたたきつけるなど威圧的な態度を取る。

「選手の受け取り方次第だ、合わない選手がいても仕方がない」といった意見も見るが、これも法的には顧みられる余地はない。そもそも、うつ病など一部の精神疾患は効く薬が見つかって以降薬理や病因の解明が進み、関与する神経伝達物質など生化学的側面が重視されるようになっており[参考][参考]、単なる「気持ちの問題」で片づけることはなくなっている。(語弊を覚悟で言えば)ストレス耐性は生まれつきの個人差もあるので、すべてを努力などに還元するわけにはいかない。「たまたま選手のメンタルが弱かったのでゴミ箱を蹴って怒った程度で心が折れただけ」というのは「たまたま選手の体が弱かったので蹴って怒った程度で骨が折れただけ」というのと変わらず、おおよそ容認される発言ではない。

また、報道内容をJFAの懲戒規定に照らせば以下の2つが該当するだろう。特に練習に出られなくなった選手が復帰することなく退団したようなことがあれば、最悪無期限資格停止に相当する(もちろん事実でなければ相応の処分になるだろう)。ただ、この規定に改訂されたのがこの5月のことなので、不遡及とするのであればこの限りではない。

暴言等を繰り返し、被害者が強い嫌悪感を覚える等の苦痛を感じ、被害者及びその周囲の者の当該所属チームでの活動に支障が生じた(暴言等を受けた被害者が当該所属チームでの活動を一時中断せざるを得なくなった、指導者におびえ萎縮して当該所属チームでの活動が阻害された等):1年間のサッカー関連活動停止

暴言等を繰り返し、被害者の心身に重大な障害を与えた、又は被害者が退団する等、当該所属チームでの活動を中止に至らせた:無期限又は永久的なサッカー関連活動停止・禁止、除名

報道に出ていることが事実かどうか現在のところ我々に知ることはできない。当初被害を受けたのはライザップからの出向社員とされていたが、ライザップ側がそれを否定するなど、報道も安定しない。

ただ、状況証拠は存在している。湘南のイヤーDVD(2018)に収録されたロッカールームの様子は、一般企業ではパワハラと判定されてもおかしくないという見方が多い[参考]。また、移籍選手のコメントの中に、練習場に来ることができなくなったことを示唆するものもある。調査に値するかしないかで言えば、値するものであろう。

今シーズンは満足にサッカーができないくらいコンディション的にもメンタル的にも苦しい1年を過ごしてきました。ピッチから離れることもありました

高橋諒選手 松本山雅FCへ完全移籍のお知らせ  2018.12.27

以前にAFCの懲罰について調べていた際に気が付いたのだが、FIFAは(アマチュアも含めた統括団体であることから)ゲームが開催できること、選手がプレーできることを最重要視しており、それ以外のこと、例えばクラブの収入や成績はそれに比べたらどうでもよいこととして扱っている。1人の選手を練習場にも来られないほどに追い込んだとしたら、湘南がいくら好成績を上げようとも、監督がいくら好選手を育てようとも、FIFAの価値観ではそれは一顧だにされない、というのが原則ではないかと思われる。

「スポーツ界は特殊」は通用しない

監督を擁護する意見で2番目に多く見るのが「スポーツ界は特殊であり一般労働環境とは違う」「他の監督もやっている、業界全体に影響が及ぶ」といったものである。

「スポーツ界は特殊であり一般労働環境のパワハラの定義は適用できない」という意見については、明白に否定される。公序良俗や公益の保護を目的とした法律は、業界の慣習に勝つ。サッカー界で法律が慣習に勝った代表例はボスマン判決である。業界の慣習として認められていた選手の保有権が、労働者の権利を定めたEC条約第39条の1(現在のEU機能条約第45条)に違反し無効とされた判決である。パワハラの禁止はこれと同様に労働者の保護を目的としており、業界の慣習が法律に打ち勝つ可能性はほぼない。

「他の監督もやっている、業界全体に影響が及ぶ」という意見についても、(少なくとも建前上)顧みられない可能性が高い。JFAは「サッカー界から体罰や暴力行為を撲滅」「サッカーの活動における暴力根絶」等の標語を掲げており、どの監督も告発されれば槍玉に上がることは確実である。報道の内容が事実であれば、裁判で争ったとしてもパワハラと見なされる可能性が高い案件であり、一罰百戒的な懲戒が与えられる可能性すらあるだろう。

諸外国もまたスポーツ界のパワハラでもがいている

もう一つ気になったのが、いわゆる体育会系的シゴキ文化を日本固有であるかのように扱う言説がそこそこ見られたことである。これは間違いで、諸外国でも体育会系における体罰、しごき、先輩後輩関係によるいじめはかつて日常茶飯事で、日本と同様にこの30年ほどで急激に浄化が進んでいる状況である。

そもそも、日本のシゴキ文化は海軍経由でイギリスからもたらされたものである[参考]。戦前は、学校で体罰でもあろうものなら警察が飛んできたし、陸軍では徴兵反対運動を恐れ体罰は厳禁だったとされる。その中で、海軍だけはモデルとなったイギリス海軍の悪しき伝統[論文]であるシゴキが取り入れられていたのである。イギリスでは厳しい上下関係とシゴキ・イジメの横行は海軍だけのものではなく、パブリック・スクール等の学校でも同じであった[参考]。欧州で体罰禁止が広まったのは1990年代からであり[参考]、それ以前は教師や親が物理的な鞭でもって子供を折檻することが当然・公然に行われていたほどである[参考]。

パブリック・スクールはまた、様々なスポーツの近代ルールの発祥の地でもある。例えばサッカーはイートン校、ラグビーはラグビー校でルールが整えられた。この影響で、欧州、あるいは欧州から派生した米国のスポーツ界でもまた長らくシゴキの伝統が存在した。ドイツで長谷部を指導したことのあるフェリックス・マガトが「しごき魔」「拷問狂」等と呼ばれていたように、近年まで公然と行われていたと言ってよいくらいである。

スポーツ界においても1990年代ころには体罰・シゴキは禁止に向かうのだが、それでも散発的には取りざたされる程度には残っている。桜宮バスケ部事件の翌年の2013年には、アメリカの名門大学のバスケ部監督の体罰が明るみとなり解雇されている[参考]。しかもこの事件では、監督が成績優秀かつ指導された学生の擁護があり、半年近く非公開で軽微な懲戒にとどまっていた。

大学側が最初に事態を把握したのは昨年の11月のこと。その時はコーチに5万ドルの罰金と3試合の出場停止処分を課しただけで、公にすることもしなかった。この大学の生半可な処分にも批判が高まり、大学のアスレチック・ディレクター(体育部責任者)も解雇されることとなった。

……ただラトガース大の選手たちからはコーチを擁護する声も上がっている。「体罰的な行為はコーチのただの一面でしかない。彼は選手のことを第一に考えるコーチだった」とする意見や、「もしみんなが他の練習風景をみるチャンスがあったなら、コーチに対してそれほど厳しい判断を下さなかったと思う」などという意見もあった。一人の選手は、「次のコーチも、ライスさんのように毎日みんなを叱咤してくれるコーチだといい」と語った。

e-StoryPost  アメリカでもスポーツ体罰が問題に、名門大学バスケ部のコーチが解雇 2013年4月6日

擁護のされ方まで含めて今回の事件によく似ていると言えよう。日本だけの問題ではないでのある。

もう少し例を挙げよう。日本のサッカー育成界(あるいは学生スポーツ界一般)には罰走というものが蔓延っている。罰走は選手の能力や規律を高めるうえでの意味が薄い体罰であるとして批判も多い。これはアメリカでも同じであり、アイオワの高校のアメフト部で行われた罰走が体罰かどうかという議論になったことがある[参考]。結局体罰だということになり禁止されるのだが、それが全米共通の価値観かというとそうでもなく、禁止の効力はアイオワ州にしか及ばない状況で、学校での体罰を禁止していない州もまだまだある。体罰撲滅は30年前に本格化したものであり、日本を含めて世界のそこかしこに残っているのが現状である。

悪い態度や不出来なパフォーマンスの罰として、特別にランニングさせることはアイオワ州の高校運動部のフィールドから間もなく消えていくことになるだろう。

……米国は半数以上の州で学校での体罰を禁止している。アイオワ州もそのひとつ。

谷口輝世子 「罰走」は体罰か。米国の議論から 2017/8/28

終わりに

体罰やパワハラはどのような業界にも、どのような国・地域にも見られる。そしてそれを撲滅、根絶していくためあがいているのも、業界や国を超えて共通した課題であり、日本サッカー界もその例に漏れないというのが今回の事件についての穏当な認識だろう。今回の事件を曺監督個人の問題と考えず、他のクラブも、グラスルーツの指導者も、他の業界でも我がこととして考えていくべきではないだろうか。

また、近年のスポーツ育成の世界では、指導者の指導方針が急速に穏健化した一方で、親の認識があまり変わらず、成績を追求し体罰や叱責するケースもまま見られる。このため、様々な国で親の干渉を和らげるための方策が個別に検討されるような状態である。今回の件は、指導者のみならず、子の親も考えるべきことが多い話題であるように思う。

ライセンス

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リーグアンのクラブたち 個人的メモ

リーグの特徴

サッカーはフランスの中で一番人気ではあるが、必ずしも支配的人気であるとは言えなかった。現在もテニス、自転車、ラグビー、柔道、スキーなどが「見るスポーツ」としても人気を博している。このため、フランスのプロサッカーは人口規模もあってそこそこの強豪ではあるものの、サッカー界を牽引するチャンピオンではなかった。チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグはマルセイユの1993年CL制覇が唯一のタイトルであり、この点ではオランダやポルトガルの後塵を拝しているものの、中位や下位も一定レベルの力を持っているためリーグ全体のランキングでは5番手が定位置である。プレミアリーグ発足以降の欧州サッカー金満化の流れでも熱狂的人気を獲得するには至らず発展が遅れ、低迷期にはロシアやポルトガルに抜かれることもあった。最近はパリ・サンジェルマン(PSG)などがCL常連となり、遅ればせながら放映権料収入なども他国リーグを追い上げつつある。

また、リーグアンは歴史的に地方都市に強豪が多く、フランス全体の中では相対的には南部海岸と北部のドイツやイギリスに近い地域がサッカーを早期に受け入れてきた土壌があり、南部ではマルセイユ、ニース、サンテティエンヌなど、北部ではリール、ストラスブール、ランスなどが古豪に属する。中部のパリ(サンジェルマン)やリヨンなどは比較的に後発組である。その強豪も10年単位で入れ替わり、元強豪が2部で長期低迷する、あるいは2部からしれっと戻ってくることも珍しくない。このあたりは、首都や第二都市のクラブが戦前から優勝常連であることが多い他国の状況とは異なるところであり、むしろJリーグに似ている。ただそれも欧州サッカー金満化に伴い上位の強豪が固定されるようになっては来ている。

クラブ紹介

強豪

クラブの資金力の面でPSG、モナコ、リヨン、マルセイユ(、リール)が頭一つ抜けており、これらが実質4強(5強)と言っていいだろう。ただ、リーグアンでは強豪と呼ばれたクラブが突然こけて2部落ちする例はあまり珍しくなく、調子が悪いと残留争いすることはざらにある。

パリ・サンジェルマン(PSG)

優勝は通算7回。1970年にパリのクラブがすべて2部落ちしたことを受け、「首都にビッグクラブを作る」という目的で作られた人工の要素の強いクラブ。とはいえ人気がないわけではなく、最多動員を通算16回記録している。1991年にテレビ局の出資を受けしばらく強かったが、2000年代に低迷。その後2011年にカタールのけた違いの石油マネーを投入し、2010年代はリーグアン中では常勝軍団の様相を呈している。パリはフランス全人口の1/6を抱え日本よりも激しい一極集中の感があるが、それでもテレビ局や石油王の旗振りが必要というのがパリジャンということだろうか。
マルセイユとの対戦ル・クラスィクはエル・クラシコにあやかって宣伝がてらそう呼び始めたもので、日本のご当地ダービーと立場的にはあまり変わらない。もっとも、フランス国内のパリと田舎の代理戦争としての側面があり、新参ダービーとしてはかなり盛り上がるほうである。

モナコ(ASM)

優勝は通算8回。1948年にプロ化ののち順調に成長し、1959-60にカップ制覇、翌シーズンにはリーグ優勝を果たした。それ以降も上位常連で、フランスの中では古豪の部類に入る。CLでも90年代からたびたび4強に入り、2004年に準優勝しており、欧州全体で見てもまあまあ強い。とはいえリーグアン強豪の常として、最近でも2000年代後半から低迷し2011~2014の2シーズンしれっと2部落ちしている(ロシアの富豪に買収され復活)。
地域人口は多く見積もって5万人程度であり、資金力や強さのわりに観客が少ないので有名。F1モナコグランプリと同様にモナコ大公の観光立国政策により昔から税制優遇等を受けて強豪の座を維持している。その点でもリーグアンを象徴するクラブの一つであるといえる。

リヨン(OL)

優勝は通算7回。1950年プロとして発足、その後は中堅~下位で稀にカップ戦に勝つ程度の目立たないクラブだったが、1980年代に経営が悪化、2部陥落ののち現オーナーに買い取られる。その後は継続的に強化され、2000年代に7連覇して強豪の仲間入りを果たした。以降、フランス第二の都市圏としての集客力とCL賞金も相まってリーグアン強豪としての座を維持している。
リーグアンの中では、マルセイユなど地元クラブと、PSGなど人工クラブの中間的な性格を持ったクラブであるといえる。

マルセイユ(OM)

優勝はアマチュアリーグ時代1回、プロリーグでは9回。プロリーグ創設以前の優勝経験クラブの数少ない生き残りであり、創設以来定期的に優勝し、最近まで上位常連である。フランス第三の都市圏に立地しサポーターも多く、リーグ最多動員記録も戦後約70シーズン中30回を誇り、リーグアン随一の名門と言って差し支えないだろう。戦前から7~8年の黄金期ののちに7~8年ほど低迷するサイクルを繰り返しており、低迷期にはしばしば2部陥落を経験している。1990年代には5連覇後に八百長が判明、優勝を1回取り消され2部に降格させられている。
サポーターの中に治安の悪いウルトラスがおり、毎シーズン1~2回くらい観客の不行状への懲罰として無観客試合を課せられている。

リール(LOSC)

優勝は3回。戦前からの古豪スポーティングクラブ・フィヴォワとオリンピック・リロワ(アマチュアとプロで優勝各1回)の2つのクラブが二次大戦末期に合併してできた。戦後10年黄金期を迎えたが、その後は半世紀近くエレベータークラブと化す。2000年から今のオーナーになり、いい選手を集めて優勝争いに絡んだと思ったら保持できず売って2桁順位に陥落するというサイクルを短い周期で繰り返している。リールは都市圏としてはフランス第5だが、ベルギーまで都市圏が広がっているほか、属するノール県はフランスの県として人口1位である。

中堅

サンテティエンヌ(ASSE)

戦前からプロであった古豪。1957年にリーグ初制覇以降は20年間強豪の座にあり続け、その間に10回の優勝を誇る。これはリーグアン最多記録である。その後80-90年代は低迷期でエレベータークラブと化していたが、21世紀は中位で落ち着いている。リヨンに近い中都市に位置しており、リヨンとのローカルダービーはリーグアンのハイライトの一つ。

ナント(FCN)

戦後プロクラブとして発足。1963年に昇格すると、1985年までの20年間常に優勝争いに絡む黄金期を築いたほか、2000年まで優勝を経験、通算の優勝回数は8回。21世紀に入ってからは降格も経験したが、現在は中位。本拠地はフランス第8の都市圏人口を持ち、北西地域の中心都市である。

ボルドー(GdB)

ほぼ戦後からのクラブ。戦後しばらくは乱高下していたが、長らく1980年代以降は安定して上位に入るようになり、優勝6回を数える。ここ最近は資金力でPSG、OM、OL、ASMの後塵を拝することが多いものの、おおむね上位1/3には入っており、EL出場経験も豊富である。リーグアンの中では比較的安定した中堅上位と言えよう。しかしそれでも2部落ちを経験しているのはお約束である。ホームのボルドーはフランス製南部アキテーヌ、ジロンド県の中心都市であり、都市圏人口はフランス第6を数える。

ニース(OGC)

アマチュアリーグ時代から参戦している古豪。1950年代に優勝4回を数える。その後は中堅ポジションで調子が悪い時には2部に落ちるといった経過をたどっている。最近調子がよくCLにも出場した。フランス第7の都市圏である。

ランス(REIMS)

1950年代が全盛期で優勝6回を数えたが、その後不安定化し、1990年代にはアマチュアまで落ちる。2000年代に復活し、現在はエレベーター。

レンヌ(SRFC)

タイトルはリーグカップがあるだけだが、21世紀には安定して中位を確保している。

ストラスブール(RCSA)

優勝1回。戦前からの古豪。優勝経験があったころでさえ10年周期の激しい乱高下を繰り返しているクラブ。2011年に財政問題で一度アマチュアまで落とされたのち再びエレベーターに復帰してきた。フランス第9の都市圏人口を持ち、対岸のドイツにまたがる都市圏を足すとさらに上がる。

モンペリエ(MHSC)

戦前からずっと2部が定位置のクラブだったが、1980年代から徐々にポジションを上げエレベーター~中位となる。2011-12に初優勝したが、その後も不安定な中下位で推移している。

#サッカーに物申すには歯を食いしばっても予想しろ

近年、インターネットを含む情報流通の進展により、サッカー界にも様々な「最強チームが実践する最新理論」的なものが流れ込むようになってきた。そういった「最新理論」にも様々なものがあり、時にはそれらの中で矛盾するものもある。では、我々はどの理論を信じたらよいのだろうか。

理屈をこねるだけで後付けの解釈だけでいいのなら、そんなことは宗教家でもできる。また、小難しい理屈を並べてはいるが、その実は単なる虚仮威しのハッタリであり、表面的な難解さで反論や批判を煙に巻こうとしているだけのこともある(有名な例では「『知』の欺瞞」など)。単に理屈っぽいものを並べているだけでは、何ら説得的ではないし、聞く必要もない。

では、耳を傾けるべき理論とは何か。それは、再現性とそれに由来する予測力を備えている理論である。少なくとも予測が当たるなら役に立つ。よりよく予測が当たるようシステマティックに改善される理論は、科学的理論と呼ばれる。そのような性質を満たす理屈は、耳を傾ける価値がある。したがって、サッカーの実践面で理論を持ち込もうという人は再現性に気を使うべきだし、再現する立場にない評論家が論理を持ち出すなら、その理論の実用性を証明するため予想を続けて山勘より当たることを確認するのが誠実だろう。

予想を口にするのは、ある種の呪いである。予想が外れたら理論の信頼性が揺らぐし、ショックである。だが、科学的理論とはそういうものである。今まで多くの科学者たちが、予想し、予想が外れたらなぜ外したかを検討し、新たな理論を作り、予測力の低い理論を破棄し、それを繰り返して予測力の高い理論となるよう洗練させてきたのである。サッカーに科学的理論を打ち立てようとするなら、その作業を免れることはできない。

(特に実践家でない人が)サッカーに対して真摯に向き合い、本気で見る目や勝てる手段を培っていきたいと思うなら、恥をかくのを恐れず、馬鹿にされる覚悟で、歯を食いしばってでも予想しなければならない。予想を書くことで自分の理論を客観視し、磨くプロセスが必要だ。外したとしても、自分の理解度がどこまで到達しているかの確認テストになると思えば気が楽だろう。どうしても外向けに発表するのが恥ずかしいのなら、せめて自分の手元では予想を明文化し、客観視する機会とすればよい。

予想しないのに後付けの解釈で理屈だけベラベラしゃべるような手合いは、一家言あるふうを装いたいだけのハッタリ野郎なので無視しても問題ない。私はそういうハッタリ野郎にはなりたくないので、何か理屈めいたものを書きたくなったら、#サッカーに物申すには歯を食いしばっても予想しろ というタグをつけて予想という形でツイートしていくことを心掛けたい。恥をかくことを恐れず、外れたら論理の予想力が低いので批判を受けるに足る理論しか作れていなかったのだと反省の材料としたい。

 

追加の質疑応答

 

20年前のデータサッカー、または岡田武史の先見性と不足していたもの

 岡田武史評価企画なのですが、時間がない時に雑に書いてるので、至らないところはご指摘願います……後で改定します

データ活用だけなら20年前からやっている

 昨今「データを活用しろ」などと喧しく言われているが、単にデータを取って戦術に落とし込もうなどという活動ならば、JリーグがOptaの活用を始めた2000年代には盛んになっている。例えば、山本昌邦がよく言っていた「奪ってからパス3本以内でシュート」の話などはデータをもとに戦術を決めようという試みの一環だったと言えよう。この「奪ってからパス3本以内でシュートしろ」という方針は定着せず今に至るが、これはデータ(統計)の基本的な扱いが分かっていなかったからという部分があるだろう。例えば、

  • hit, false alarm, miss, correct rejectionの区別ができていない
    • パス3本以内で攻撃に成功しなかった場合が勘定に入っていないなので成功率の評価さえできていない
  • 相関と因果の区別がついていない
    • 因果としては「ロングカウンターでの得点が多かった結果深い位置からパス3本以内の得点が多かった」のようなこともあろう。パス3本がシュート位置の好適性を必ず高めるわけでもない
  • 小さなサンプルに過剰適合している
    • 後の時代には高い位置でボールを奪ったりパスを多く回す方法が成功していて、この当時の狭い時期のトレンドに過剰適合して時代の変化についていけない

など、大学1~2年で習うような基本的なデータの扱い方ができていない。こんなデータの扱い方ではまともな改善試験サイクルは回せなかったろう。ついでに言えば、山本昌邦の貼っている表と文章を読むと「得点に至るパスの数」と「奪った位置」のクロス集計表が欲しくなるし、奪った時の相手のオフサイドラインの高さなど補正項も欲しくなるところだが、そういった発展には向かわなかった。

岡田武史の先見性

 岡田武史は2010W杯での成功で注目を集め多くのインタビュー()が行われたが、そこに見えるマリノス時代の指導方針は興味深い。当時の流行のように「データを生かすサッカー指導」を試みているのだが、そのうちでもモデリングが適切であるように思われるからである。その要素を抜き出すと以下のようなものになるだろう。

  • サッカーでは、選手は相手ゴールに向かって球を運ぶことを目的とする。
  • 相手の守備が薄いところを突く=相手ゴールに到達する確率が経路を選択すれば容易に目的を達成できる。
  • 相手の守備の厚みが同じなら(ゴールに近い)中央のほうがよい。なので普通は中央は固められる。
  • サッカーは11人で行う競技であり、人的リソースには限界がある。中央を絞ればサイドが空き、サイドを守れば中央が薄くなる=サイド守備と中央守備はトレードオフの関係にある。
  • 攻撃側は、サイド攻撃・中央突破のどちらも選べるようにしておき、相手が中央を守っていればサイドを、サイドを守っていれば中央を攻撃すれば常に相手の手薄なところを攻略できる。

 ゴールとフィールドの形が決まっていてゴールに球を運ぶ競技である以上ゴールとボールの位置関係が重要であるとか、サイドと中央で相手の守備が手薄な方を選んで攻撃するのが最適であるとか、このあたりは昨今もてはやされるポジショナルプレーと問題意識は共通しているのではなかろうか、と思える節がある。トレードオフの関係はサイド/中央の守備に限らずサッカーのあらゆる場面に出現する。攻撃に人数をかければ守備の人数が減る。ラインをあげればショートカウンターは狙いやすくなるが縦一発で沈められる。攻撃側は守り方がトレードオフ関係にあるどちらの攻撃経路もとれるように戦術的幅を持たせておき、相手の守り方を見て常に後出しジャンケンで勝利する。現在サッカーが向かっている方向性はこういうものだというのが私の認識で、マリノス岡田は同じものを志向していたというように思われるのである(筆者はサッカーの専門家ではなく、筆者がサッカーについてモデルを立てろと言われれば大雑把にこのようなモデルを立てるだろうというところもあって現場で得られる知識と齟齬があり間違っている可能性も大いにあるが)

岡田武史に足りなかったもの

  岡田は「サイド守備と中央守備は両立しえないので相手の出方を見て選択できれば効率的である」という理解を得ていたが、それを選手のタスクに落とし込むところで壁にぶつかった。選手はサイド攻撃か中央攻撃かどちらかしかできなかったのである。岡田はこの壁を選手のクリエイティビティ、ファンタジーを引き出す方向で解決することを試み、人間力的なオカルトじみた方向に行ってしまった。

 一方、欧州では別の方法が発明され、成功した。選手に「サイド攻撃と中央突破の選択権を持っている」ことを意識させるため、あるいはそれを実用的に運用できる程度のパス距離を維持するため、両者の中間領域であるハーフスペースを定義し概念を植え付け、ハーフスペースでのボール維持と、そこにボールがある場合のプレー選択の判断基準とタスクを定義した。もちろんポジショナルプレーをよく知る方は「ハーフスペースの意義はそんなものではない」とおっしゃられるであろうが、少なくとも岡田が目標としていた試合中のサイド・中央の攻撃経路の選択はこれで実現可能なのは確かだろう。

結び

 というわけで、私個人としては、日本サッカー界の監督たちの問題意識やサッカーという競技の捉え方は、おかしなものではないのではないか、という印象を抱いている。少なくともJリーグで優勝できるような監督は、世界の最新の理論とやらを理解できるだけの土壌、萌芽を持っているように思える。

 しかしながら、逆に岡田武史の限界から、問題も見えてくる。日本サッカー界には知識の体系化・共有と、共有者の増加による改善の増加、末端や門外漢からのフィードバック=ブラッシュアップが足りていないように思えてならない。山本昌邦の統計の不適切な扱いは大学院修士で実験を行っている人ならば容易に指摘できるものであるし、岡田武史がアドバイスを求めに行っている相手は岡田武史の問題を解決するのに適切な人であるようには思われない。ただ、今の欧州サッカーはとにかく金があっていろんな専門家を呼んで試行錯誤もしやすい段階であるから、個々人の質というよりは量の問題かもしれないが……

  ……ラストに一つ言えば、「データを活用しろ」「今のAIはすごい」というようなことをいう人は多いが、前世紀のAIであるアキネイターも作れないような連中、線形分離可能かどうかという発想さえない連中の言う「AI」は所詮バズワードであり、因果と相関の区別や擬似相関について学部生レベルの理解さえしていない連中の言う「データ活用」は聞き流して構わないと思われる。

ハリル招請への勘繰り、または私見「自分たちのサッカー」

 日本代表がザック、アギーレ、ハリルと続くなか、「自分たちのサッカー」をめぐる言説が多く出されている。今回、その中の一つを読んで、少し反駁したくなったので筆を執ることにした。反駁の対象はこちら、フモフモコラム『痛快な勝利に「アンチ自分たちのサッカー論者」が勢いづくなか、それでもやはり「自分たちのサッカー」を探す旅はつづく。』である。

 筆者のフモフモ氏は、ハリルの特徴とされる、戦術を固定せず相手に合わせ弱点を突くやりかたを「いわばジャンケンのようなもの」と評する。本質的には絶対優位・絶対劣位にある戦術はなく、だからこそ身体的特徴などで絶対優位を追求すべきだという意見である。私はこれに反駁する。サッカーの戦術はジャンケンのような関係に収束するまで成熟していない。氏は「日本はこのレベルに達していないので……」としているが、これは日本だけの問題ではなく、世界のサッカーがそうであるというのが私の意見である。

 ここで、サッカーの戦術の歴史を少し省みてみよう。サッカーの黎明期は、フォワード(FW)5名にバックス(ディフェンダー;DF)5名が分業するスタイルであったとされる。その後攻撃と守備に両方参加するミッドフィールダー(MF)というポジションができ、時代が下るとともにMFの人数は増えていった。この方向への変化はより進み、何らかの形で全員攻撃・全員守備に向かっている。攻撃はDFやゴールキーパー(GK)のビルドアップ、フィードから始まるというのは常識化しつつあり、ワントップのような純粋なFWでさえもビルドアップ妨害のような守備的タスクは必須とされている。古くなるが「トータルフットボール」はそのまま全員攻撃、全員守備という標語ととらえることも可能だろう。

 この方向に変化するのは、リソース管理の考え方からすれば当たり前である。分業時代には常に5人、守備時は攻撃陣が、攻撃時は守備陣が、我関せずと見ているだけになる。MFが入ったとして、ごく単純な4-3-3でMFのみが攻守両方に参加しているだけなら、攻撃時は4名、守備時は3名が余っていることになる。サッカーにおける数の有利は誰でも知るところであり、スタミナが続く限り全員を攻守双方に投入したほうが効率がいいのは当たり前だろう。もちろんスタミナもリソースの一種なので、これを節約するために位置関係は動かさずに攻撃はビルドアップとシュート、守備はビルドアップ妨害とライン形成などのようにより細かい分業が工夫されているものだと理解している。

 原始的な攻守分業スタイルは人的リソースの利用効率が絶対的に劣っており、ジャンケンに例えれば「グーチョキパーの全てに負ける手」である。今後復活する余地はないだろう。逆に言えば、リソース利用効率を高めればまだまだ絶対優位を得られる「グーチョキパーの全てに勝てる手」を開発する余地があるということになる。

 この方向での変化は現在も継続しているように見える。私はサッカーの専門家ではないので断片的知識になるが、少し前から攻守交代時に着目した「トランジション」概念が盛んに言われるようになった。これはプレーを時間で切って守備の動きと攻撃の動きをする時間をなるべく最適化しようという、時間軸で選手の利用効率を高めようという挑戦だろう。なんの衒いもなく単に「相手の隙を突く」という言い方をしてもいいが、攻撃できるときには可能な限り速やかに攻撃的シフトを取る人数を増やし、守備時はその逆といった形で人的リソースの利用効率の話にしても問題ないと考える。

 また、考慮すべきリソースは攻守の人数だけではない。ゾーンディフェンスはそれが開発されて以降標準の地位を得るに至っているが、私はこれを一種のリソース管理であると理解している。これを説明すると:

  1. 常識的に、ボールをゴールに近づけられたら失点の危険が高まる。
  2. 常識的に、ドリブルやパスの距離が延びるほど精度は下がり、成功率も低くなる。

1と2を畳み込めば、失点危険度×発生率=失点(損害)の期待値=失点リスクを表すマップが得られる。このとき、リスクの高いエリアから順に守備選手を配置していけば失点リスクを最小化できるだろう。つまり、守備時における領域のリソース管理と考えることができる。 言葉ではわかりにくいので、模式図的例を出そう。今回は仮に、1.についてボールが前に進むほど失点の危険度が高まり、2.についてボールが単位距離を移動するごとに一定の割合でロストし、成功率は指数関数的に減るものと定義し(図1左)、両者を畳み込んでリスクマップ(図1右)を描いてみた。ボールのある位置より自陣側に高リスクな領域が広がっており、ここに人を配置するべきと理解できる。もちろんリスクマップのモデルの妥当性の問題はあるが、私個人は「ゾーンディフェンスはボール位置が基準となる」ということを初めて教えられたとき、このようなモデルを頭の中に描くことができ、すんなり腑に落ちた記憶がある。

最近ではこのゾーンディフェンスを理詰めで再現性をもって攻略する事例が増えているとのことで、まだまだ「新しい手」の開発は続いており、その中に絶対優位・劣位の関係にあるものも出てくるだろう。

 もちろん、いくら戦術的準備を整えようと、ドリブルでスコスコ抜かれてしまう、あるいは長身FWにクロスを入れられればヘディング打たれ放題になってしまうようでは「戦術的優位性」など容易に崩れ去る。リソース管理の文脈で言い直せば、選手が上手くなることはリソースを追加する、リソースで上回るとなるだろう。個人能力に合わせた戦術のカスタマイズ(これはフモフモ氏の意見と同じであるが)や新しい個人技の開発、個人技教育法の発展を含めれば、サッカーにはまだまだ未踏のフロンティアが多く残されている。今の段階で戦術が成熟しきったジャンケン関係になっているとは到底信じられない。フィジカル・テクニック両面の育成法を極め人間の身体能力で可能となる戦術のすべてを網羅すればその時は訪れるだろうが、当分の間その天井のことは忘れてよさそうである。

 以上のような前提を置いて、私はハリル体制を「結果を残すために現実的戦術を取る」ためのものであるとは理解していない。戦術ジャンケンのやり方を習得し、そのジャンケンで新しい手を開発する方法を習得する、Jリーグを始めとする日本サッカー界が「学び研究するスキル」を獲得するためのモデルケースとなり、自らの手で最先端――言い換えれば「ジャンケンのグーチョキパー全てに勝つ手」に至るための学びの過程であると認識している。もちろん、それが学べばすぐ見つかるようなものではなく、長い研鑽の先にあるものだろう。そして、自分たちの特徴に根差したサッカーというのはむしろそのさらに先まで行ったときに必要となるのではかろうか。

五輪でさえ「将来の日本代表」への貢献度は高くない

しばらく前にU-20の結果が将来を決めると思ってはいけない理由について書いたが、五輪についてはまだいささか幻想があるようである。五輪代表は「将来のA代表予備軍」として捉えられがちで、良い監督を連れてきて結果に拘れという人が結構いるが、実際のところそこまで重要性は高くない。

五輪代表は「半分」の代表

五輪は4年に1回のため、U-23代表で一つの「世代」になるのは五輪開催時20、21、22、23歳の集団になるが、この年齢帯ではどうしても23歳や22歳といった一歩でも早く成長している年齢が有利になり、五輪時21や20では五輪代表に選ばれにくい。このことを過去の日本U-23代表の年齢構成から示す。

2000 2004 2008 2012 2016 合計
OA 3 2 0 2 3 10
23 5 6 4 2 4 21
22 3 5 7 8 5 28
21 4 2 2 3 5 16
20 3 1 3 2 0 9
19 0 2 2 1 1 6

五輪時22~23歳(ここでは「表年」と呼ぶことにする)と21歳以下(「裏年」と呼ぶ)の比率は5:3程度であり、OAも入れて22歳以上と21歳以下に分ければ比率は2:1となる。明らかに「表年」のほうが選ばれやすい。

一方で、選手個々人の成長が「表年」か「裏年」かで変わることはない。すると、20代半ばに差し掛かるころには「裏年」の面々が追い付いてくる。「表年」で晩成型の選手の追い付きや、五輪代表選手のケガなどが重なっていくと、A代表で五輪代表だった選手の比率は下がっていく。それを実際に確かめてみよう。

2017年8月(予選 vsオーストラリア、サウジ)召集メンバーを五輪出場と不出場、五輪時の年齢22以上(表年)、20-21(裏年)、19歳以下(飛び級)で分類した表を以下に示す。なお久保裕也はクラブが拒否していなければ出場していたので出場扱いとしている。世代としてはアテネ2、北京8、ロンドン11、リオ6である。

五輪出場 不出場
表年22- 4 2
裏年-21 8 11
飛び級 2

五輪出場者は14名、五輪不出場が13名でほぼ同数である。また「裏年で五輪不出場」の選手が突出して多いのも見て取れるだろう。ロシアW杯3次予選を支えたのは原口、大迫、昌子、川島といった五輪不出場組の伸びであり、その多くが「裏年」生まれである。A代表の「厚み」はここが支えていると言って過言ではない。五輪出場者についてはリオ世代の「裏年」組が多め(4名)に召集されているためやや多いが、北京組やロンドン組を見る限りは基本的に「表年」「裏年」の数は同程度になるようである。

五輪は「まあまあな選手」の大会

また五輪代表は育成目的のため原則として1回のみの選出であり、香川や井手口など飛び級メンバーが2度選出されることはない。またもはや育成段階を卒業してクラブで国際レベルの試合に出ている場合も出ない場合が多い。日本では久保裕也はEL予選出場のため召集外となった。国外で言えば、すでに活躍してるムバッペ、デンベレあたりがこれから五輪に出場するのはいささか想像しにくいだろう。現在の区部サッカーでは23歳は普通に活躍していなければならない年齢であり、23歳の時点で活躍していればビッグクラブから引く手あまたになる。言ってしまえば五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけに近い部分がある。OAを除いた五輪メンバーは15名程度になるが、日本でさえA代表に安定して残るのは多くて半分程度でしかないし、強豪国は超一流の選手がさらに合流してくるわけで、五輪で結果に拘ろうともそれは将来の代表を占うにはいささか材料が足りない。

また五輪は「超一流を除いたまあまあな選手の中での大会」という位置づけになってしまっており、一発勝負であることから、移籍のためのショーケースとしてはほとんど機能していない。今の移籍事情で22、23はギリギリ若手と呼んでいいが「青田」ではないというところであり、リーグで目立った活躍してなければ引き抜かれることはない。現在はJリーグにも欧州中堅どころのスカウトは当たり前のように来ており、鳥栖の鎌田やFC東京の中島のように普通に引き抜かれていく。五輪経由での移籍は、ロンドン大会の後にA代表での実績込みかつパニックバイで買われた吉田麻也という例外を除けば、五輪で一番頑張ったキャプテンの大津がVVVフェンロに行くのが精いっぱいである。

今時、五輪を凄い大会と位置付けてそれで選手の将来が決まる、あるいはA代表の将来が占われる、などということは考えないほうがいいだろう。

東京五輪だけは例外かもしれない

ただ、東京五輪の時だけは、地元開催で祭りを盛り上げる都合で強力なメンバーが組まれる可能性はある。リオ五輪の時はブラジルはネイマールを招集しているが、通常彼のクラスの選手が五輪代表への召集をOKされることはない。日本の五輪代表もOA枠は毎回たらいまわしになり自ら手を挙げる人は滅多にいないが、東京五輪の時だけは注目度も異なることから事情が変わるかもしれない。もっとも、そうだったからといって、五輪の成績が良かったからといって移籍市場で注目を高める効果はかなり限定的だろう。