順位予想の当たり方の計り方

ドメサカブログさんで順位予想の当たり具合に「予想1位~3位チームの順位差の平均値」という数字を使っていたのですが、もうちょっと良い指標が使えないかな?と気になりました。この指標は、完全的中時にゼロになることは分かりますが、完全にランダムな(J1クラブ名を書いたカードをシャッフルした)時にどの程度の数字になるのか直観的に分からず[1]、どの程度よく当たっているかがつかみにくいという問題があります。また、上位のみの数字を使っているので中位、下位の予想力も反映されていません。

こういった問題を解決するために、統計学では順位相関係数というものを使います。これはドメサカさんが使っていたような「順位間のずれ」の数字を、完全一致時に1、ランダムな時に0、完全逆順時に-1となるように大きさを調整(標準化)したものです。この方法にすれば

  • 当たり具合が分かりにくい→分かりやすい
  • クラブ数によって影響を受ける→受けない
  • 上位の数字だけ使っている→全体の数字で計れる

と、いくつかの問題が解決します。

でも、計算が大変なんでしょう?

とっても簡単。ケンドールの順位相関係数であれば、総当たり表を作り、各マスについて「実際の順位と予想順位が同じなら“当たり”を、違えば“外れ”を書き、当たりのマス数から外れのマス数を引いて、最後にマス数の合計値で割るだけです。

無題

手軽に計算するのであれば、オンラインの順位相関計算サイト[2]に飛んで、順位&予想順位表を張り付けるだけ。あとはボタン一つで相関係数(r)が出てきます。rの横に*印がありますが、これは「ランダムシャッフルではこの的中率はなかなか(少なくとも20回に1回未満しか)出ない」という意味の印です。18クラブ予想の場合にはrが0.4を切ってくるとシャッフルでもたまには出るというレベルの的中率になります。Jの場合は0.5が大まかに凡人予想ラインと置いていいでしょう。

js-starの使い方

js-starの使い方

ドメサカブログさんのところの数字をそのまま使って計算してみたところ、以下のようになりました。
* 平野孝 0.715
* 後藤健生 0.674
* 小村徳男 0.742
* 福田正博 0.657
* 鈴木隆行 0.701
* 山口素弘 0.734

無題

数字の多少の大小は気にしないでね

順位相関係数を算出すると小数点以下細かい数字が出てきて信用できそうに見えますが、いくつか留意点があります。一つは、この数字はシーズンごとにある程度ばらつくということです。同じ人でもシーズンごとに相関係数はばらつきます。個人の「予想力」を語るなら予想10回分くらいは見たほうがよさそうです。二つ目に、これはあくまで予想が難しい「今のJ」に限定した数字です。同じことを海外リーグでやれば恐らくそちらのほうが予想と実績の相関係数は上がるでしょうが、そうなったとしてもそれはJは予想が難しいということを意味しているのであって、Jの解説陣が予想力が低いということを意味するものではありません。

補注

[1] ちなみに(ランダムに選んだ時の)期待値は16クラブで6.67、18クラブで7.65、20クラブで8.63になります。

[2] このサイトではスピアマンの順位相関係数を使っています。ドメサカブログさんの数え方はズレを数え上げているのでケンドールの順位相関係数に近く、私もこちらのほうが適していると思いますが、オンラインで計算できるサイトがないので。

賭けオッズを支持率のデータとして読む

アジアカップが近くなってきた。このような大会が近付くと、賭けオッズを見ながら強い弱いという議論は出るものなので、その参考として賭けオッズの基本についておさらいしたい。

賭けオッズを作る

賭けオッズを作る・読む上で大前提となるのは、胴元は絶対に損をしないように作られている、ということである。この前提を満たすには、各選択肢に賭けられた金額の対全体比率の逆数を倍率の上限とすればよい。例えば、全金額のうち½(50%)が選択肢Xに賭けられているならば、X勝利時に2倍支払うことにすれば胴元は損得なしである。同様に、⅓(33%)が選択肢Yに賭けられていれば3倍、⅙(17%)が選択肢Zに賭けられていれば6倍で損得なしとなる。実際には胴元が一定の比率で取り分を設けるので、それを引いた還元率を投票比率の逆数にかけて売り出し倍率とする。還元率8割の場合、50%が賭けられている選択肢の倍率は(1÷0.5)×0.8で1.6倍となる。

賭けオッズを支持率のデータとして読む

オッズを読む場合には、基本的には上記の計算の逆をすればよい。ただし、還元率については胴元が勝手に設定したものであるため、我々がそれを知るには全選択肢のオッズから逆算する必要がある。具体的には、各選択肢のオッズの逆数を求め、その合計値の逆数が還元率となり、オッズの逆数に還元率をかけた数字が全賭け金額に対するその選択肢の選択比率となる。

以下に、2015アジアカップについてのとある賭博会社のオッズ表から、その賭博会社の想定している各選択肢の選択比率を示す。還元率は83.1%、全出場国が16カ国である中での日本のオッズ3.5倍は、全投票金額のうち23.8%が日本の優勝を予想しているということである。

asiancup2015williamhills

オッズ オッズの逆数 賭け金額の対全体比率
豪州 3 0.3333 27.7%
日本 3.5 0.2857 23.8%
韓国 6.5 0.1538 12.8%
イラン 10 0.1000 8.3%
ウズベク 15 0.0667 5.5%
中国 21 0.0476 4.0%
UAE 26 0.0385 3.2%
サウジ 26 0.0385 3.2%
イラク 41 0.0244 2.0%
ヨルダン 41 0.0244 2.0%
オマーン 51 0.0196 1.6%
カタール 51 0.0196 1.6%
北朝鮮 51 0.0196 1.6%
バーレーン 67 0.0149 1.2%
クウェート 81 0.0123 1.0%
パレスチナ 251 0.0040 0.3%
オッズの逆数の合計
=還元率の逆数
1.2030
還元率 83.1%

現行FIFAランキングの特徴を説明するからちょっと聞け

要点

  • 日本のFIFAランクは「勝てる公式戦」であるアジア杯とW杯最終予選の直後半年だけ上がる。
  • W杯とコンフェデで合わせて勝ち点10を取れるようになれば20位以内で安定するはず。
  • そうなるまでは各大陸の大陸杯・予選レギュレーションでどうとでもなるから細かいことは気にするな。

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キックの駆動力の4成分

筆者は専門のサッカー指導者ではありません。筆者が逆足キックを習得するために試行錯誤した事例を残すためのものです。本稿は試稿であり、批判的なご指摘・ご意見等も常に歓迎しております。コメント欄・twitter等でお気軽にご指摘いただければと存じます。

サッカーにおけるキックは、物理学的には足先を加速してボールにぶつけ、その反作用でボールを加速する過程と言えます。足先を加速するためには足先に力を加える必要がありますが、その力を発生させるため筋肉の使い方は、大雑把に以下の4種類に区分できると考えられます。

  1. 助走
  2. 軸足
  3. 水平面トルク
  4. 矢状面トルク

実際のキックはこれら4つの成分やその他の細かい動きが組み合わされたものですが、どの力を強調するかによってキックの性質が変わってくるでしょう。本稿ではそれについて考えます。

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UEFAの力で代表戦は減り、Jも相対的にきつい

近年のJリーグを取り巻く環境について「スター選手流出し過ぎ」「代表が盛り上がっているのにJが盛り上がっていない」「秋春制絶対反対」「ACLは罰ゲーム」など、様々な不満が聞かれる。こういった不満を解決したいところだが、そのための下調べをしていくと、原因の多くがUEFAの金満化にある、ということにたどりつく。これについていくつかトピックを列挙していく。

*急いで書いているので資料の添付は後回しにします

要約

  1. プレミアリーグと欧州チャンピオンズリーグの営業が成功して放映権料で金満化した
  2. 欧州でもアジアでも代表選は減らされる。
  3. EPLはホリデーシーズンに稼ぐために冬をリーグ戦で埋めたい。この結果、冬を開けたいJリーグには不利なAマッチ日程が押しつけられている。
  4. UEFAがUCLを強化した結果、CLの世界再編でJリーグにとっては減益要因にしかならないACLを押しつけられ、Jの日程が過密化していてる。

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Why does the Japan soccer team wear blue? – Confirmed history and presumed origin

Notes:

  1. Most of the linked site from this page are written in Japanese.
  2. I dare to write Association Football as “soccer” but “football”, because “soccer” is more suitable for describing the history of football in Japan. “Football” appearing in this page is broad sense, refers Association, Rugby and other football.

Why does the Japan soccer team wear blue despite their red-and-white flag? The official answer from the Japan Football Association describes:

Although it is said that the blue is symbolizing the sea and sky surrounding Japan islands, in fact it is retrospective reasoning. There is no reliable document proving the reason why it is blue. Japan’s national team uniform was blue at the first half of the 20th century, and it continues to the present day.

Japan Football Museum exhibits the oldest national team’s shirt in existence looking light blue. There is no evidence older than that. The only thing that we can do is guess.

The blue presumably being the colour of college sports

The best guess at the moment is that the blue is coming from college sports. After the Meiji Restoration (1868), football was played by students of colleges, universities, and (especially) normal schools in Japan. The emperor’s cup was monopolized by students’ teams until 1959. In the Meiji era, Japanese society wanted to learn everything from western nations, whether it is important or not. When the first boat race between the university of Tokyo and Kyoto was held, they put on blue shirts to imitate boat race between the university of Oxford and Cambridge. After that, other sports teams at the University of Tokyo have tended to wear light blue shirt. Soccer team of the university also did so.

International sports games started at the end of the 19th century. For a decade, there was no systematic method to nominate members of a national team. Sometimes “representative” (代表, Daihyō) method was applied: the winner of a domestic tournament directly became a national team. For example, the first national team was the team of the Tokyo Higher Normal School itself. In other cases, “selection” (選抜, Senbatsu; cf. Seleção of Brasil) method was used, and both methods coexisted for a decade. In 1930, Japan national soccer team for the 9th Far Eastern Games was mainly consisted of the students from the university of Tokyo, who wore blue shirts in domestic tournaments. — It is guessed that they kept wearing blue shirts at the national team, and selected members for the 1936 Olympic Games took over blue shirts from former national team, and finally those shirts were left as the oldest national team’s jerseys in existence. This is the storyline of a leading hypothesis for the colour of the Japan national soccer team. Although the centre of Japanese football shifts to professional team since 1993, national team continues wearing blue shirt.

It is said that the colour of the boat race team, light blue, originates from the colour of Eton College where the association football begun. The samurai’s blue shirts are the legacy of football as a college sport.